ざざーん、ざざーん…
波音を聞き流しながら、目の前の海をぼんやりと眺めていた。
海岸にある公園。
「こんな素敵な公園にいるなら、今日は走らないでいいや」
ぼくがこの旅で求めていた景色が目の前にあるんだから。晴れ渡った空、穏やかな深い青色の海、心地いい風。好きなものばかりに囲まれていた。きっと顔はニコニコしていたと思う。
ここは白浜。チーバくんのかかとに当たる場所だ。
結論をいえば、この日は、かかと→つま先→足首だけの37kmを走っただけ。走らずに観光しまくり満喫していた。
白浜町から館山市にかけての沿岸地帯。
眺望に旅満足パラメータが振り切っていて、ここに居座りたい気分になっていた。まあ正直なところ、眠たかったからのんびりしたかったのもある。というのも、宿のエアコンが1時間100円課金システムだったのだ。暖房代をケチったせいで、寒さに震えてあんまり寝れなかった(;´∀`)サムカッタヨー
てなわけで、のんびりモードに。この磯笛公園の居心地がよくって1時間ぐらい滞在していた。どんどん観光客がやってくる。みんな「わぁああああ!(*’ω’*)」って喜んでいる。
「地球ってやっぱり丸いんだね。だって遠い雲ほど低く見えるもんね~」と話している人もいた。
たしかに。
考えたことなかったけど、その意見には大いに納得した。なるほど地球が丸いから、遠い雲ほど低い位置にあるのか。何十km先までの雲が立体的に見える理由がわかった。また1つ知識が増えたぞい。
さて、ここから見える灯台が気になる。
調べてみると「野島埼灯台」という名前だ。Twitterでフォロワーさんからオススメされていたスポットだ。よし行ってみよう。
余談だが、野島埼灯台という名前。「埼」と「崎」どっちの表記でもOK。
土ヘンの「埼」は海から見たとき使われ、山ヘンの「崎」は陸地から見たときに使われる。現在の灯台は海上保安庁の管轄なので、海から見る「埼」の字を使っているらしい。
ツーリングするとこういう雑多な知識が増えるのもおもしろい。余談終わり。
さて、この野島埼灯台。灯内に登れるらしい。
狭い&急な階段を上がると…
ぴゃぁああああ!!!
太平洋だぁぁあああ!!!!かっこえええええ!!!
視界180度に大好きな海が広がっている。うおおおおお!!めっちゃ好き!!
雄大な海ってこの海のことなんじゃ。曇りのない空の薄い青色、白波を立てる海の濃い青色。見てよ、この濃淡!!美しい!すっかり千葉の海が好きになった。
今日一日、のんびり旅をすると決めて正解だ。
房総半島の最南端ポイントも獲得した。
半島ハンターとしては、押さえておきたいポイントだった。
すぐ近くに神社があったので初詣がてら行ってみた。
入ってすぐに、驚かされた。ちんちんを模した神木が鎮座していたのだ。いや、それ自体は珍しいことではない。全国各地になぜか置かれているのだ。
驚いたのはその精巧さ。あまりにもリアルすぎて、巨人のちんちんのハクセイかなと思ってしまった。造形がモノホンすぎるので、残念ながらここでは写真は割愛。いやぁ、あれはR18指定モノだった。モザイクかけるレベルだった。気になる人は厳島神社白浜町へ行くか、TwitterでぼくにDMしてくれたら写真送りますよ。
個人的には、神木の横にあったこの唄が気に入った。
(´^ω^`)ブフォ
(ここで読者さんがブラウズ閉じていくんだろうなぁ)
あとの予定は何も決めていない。景色とご飯と温泉を楽しみたい。
ぶらぶらと適当に走る。
自転車道、という看板に釣られて、
入ってみたら砂地だったり。
1月3日だというのに、
菜の花が咲いていたり。(ふつうは3月に咲く。千葉があったすぎるェ…)
女子中学生がマラソンの練習をしているのに出くわした。「10キロ地点。1km3分57秒」と後続車のスピーカーから檄を飛ばしていた。監督さんだったのかな。
しれっと並走してみると、15km/hで走っていた。はぇえええ!!ガチ勢やん…ガク((( ;゚Д゚)))ブル(ぼくが走るとせいぜい12km/h)
さて温泉だ。ここは「たてやま温泉 千里の風」さん。
ここの温泉は良かった。温泉はちょっと熱めだが、リラックスできる。というのも、景色が抜群にいい。相模湾越しに富士山が眺められるのだ/(^o^)\フッジサーン
もはや温泉に入らず、椅子に座って富士山を長い時間見ていた。富士山の魅力は曲線美だと思うの。
風呂上がりのだらだらタイム。スポーツドリンク飲み放題という最高のサービス。
これだけのんびりと時間を過ごすのはいつぶりだろうか。ああ、いい時間だ。まどろみながら、ゆったり考え事する。今日は何しよう。あ、なにもしなくていいや。もうここに移住したい。。。
…昼寝から起きるともう3時だった。あれ、今日ご飯食べたっけ?
食べてないな。どっか食べに行こう。
グーグルマップで適当に調べてみる。選ぶ基準なんてなく、直感である。ツーリングで鍛えられたおかげか、選店レベルは高くなった。
…お、ここ良さそう。
相浜亭さんへお邪魔する。
うん、いいね。こういう地元感がぷんぷんするお店だいすき。
ここんところお正月休みでどこも開いてなかったから、なおさらこういう店へ来たかったのだ。おいしいものはきっと、こういう店にある。
金目鯛の煮付けキタァァアア!!!
せっかく千葉へ来たんだから、金目鯛が食べたかった…!!もうあちこちで金目鯛のノボリが立ってるんだもん。
うんっめえええ!!
しっかりとした肉質で噛むほどに旨みが出てくる。煮汁も甘じょっぱくてうまうまうま。こりゃあ、贅沢だ。金目鯛さん、あなた美味しくできすぎですよ。
満足してご馳走様をしようとすると、店のおっちゃんに呼び止められる。
『アラと煮汁を丼にいれて、お湯入れてみ?うまいよ』
な、なんですと!?
ずずーーっと、すする。
ふぁあ~~~!
うまみが!!金目鯛のうまみが!!ギュギュっと濃い。いい出汁がでている。香りもいい。唇にまとわりつく脂が嫌じゃない。うまい脂だ。
話を聞いてみると、これも漁師メシの1つらしい。特に名前もない料理だが、この地域では昔からの食べ方なんだって。ふむ、これはいいな。余りを出すことなく、最後の最後までおいしく頂ける。ごちそうさまでした。
これで1200円だった。破格にもほどがある。安すぎる。東京で食べたらきっと2倍以上するんだろうな。地産地消は安い。
最後は景色。ここが最高潮に良かった。
百億万点。
大好き。
一番のお気に入り写真。
働く乗り物はかっこいい。
タイミングよく、夕暮れの富士山。
いい雰囲気だ。
灯がともった洲埼灯台。
ひたすらに美しい夕景を拝んでいた。相模湾に沈む太陽と空は天下一だ。
ほとんど走らずに、その地で滞在する旅もまた一興である。
自転車旅を始めて、景色にどんどん惹かれていった。とくに一日の終わりを知らせてくれる夕昏。これには心打たれるものがある。いくら見ても飽きない。
距離感覚や金銭感覚はマヒしていく一方なのに、景色への美的感覚はマヒするどころか、研ぎ澄まされていく。これだから自転車旅をやめられないんだと思う。見るごとに惹かれていく景色。ただそれを求めて旅をするのが楽しい。いい趣味だな、と思う。
さあて、明日は何を見に行こうか。
つづく↓