【最高の景色】いざ伊豆半島を走ろう②【怒涛の登り】

1906伊豆半島

むくり…
…うん。よく眠れた。

ここはどこだっけな?…そうか、静岡か。


伊豆半島を一周してるんだった。ここは伊東市だね。

今日の空は良く晴れている。どうやら台風は夜中のうちに過ぎていってくれたようだ。よかったよかった(´ω`*)

さとるくんが朝風呂に行きたいようなので、ぼくもついていく。朝風呂を浴びれるって結構な贅沢だ。しかも源泉かけ流しの温泉だなんて!!(熱い温泉のおかげでバッチリ目が覚めた)

荷物をまとめて宿を出る。
お宿スタッフの兄ちゃん「今日はどこまで行くの?」
ぼくら「ちょっと西伊豆町まで」
兄ちゃん「遠いね!でも、あそこなら堂ケ島の夕焼けがキレイだよ」
ぼくら「うおおおお!!」

さあ、まずは朝ご飯じゃ~~~い!!

この地域では、干物屋さんが朝定食を出してくれるらしい!いいね!直感で選んだお店に入る。

「おぅ、いらっしゃい!」
新聞から顔を上げたおっちゃんが声をかけてくれる。田舎の親戚んちに来たみたい。のんびりとした雰囲気がいい。

おっちゃんのオススメのサバの干物を注文する。


海風を肌に受けながら、青空の輝きを楽しむ。将来は海の見える家に住んでみたいなあ。

きたきた!

サバの干物定食だ!でっかいな!

いざ、いっただっきまーす!やわらかい身に箸を入れる。

…ふぅぅううう!!!うんまぁあああああ!!!旨みが!!サバの旨みが!!

噛むとホロホロと崩れていく口当たりの良さと、上質な脂が広がってくる。うんめぇな!!

この肉質よ…脂でテカテカ光っている。

サバの生臭さもまったくしない。しっかり詰まった肉質から無限に「うまい!」が押し寄せてくる。最高の一品やないですか。パリパリに焼けた皮もまたおいしいんだ。

白米、サバ、白米、サバ、白米、アオサの味噌汁、またサバ…無限ループが始まった。あまりにも美味しくって、ずっともぐもぐする。

ただあまりにもサバがデカすぎた。半分食べてところで腹八分目…。普通のサバの3倍の食べ応えがあるぞこれ。でも、美味しいからご飯おかわり!!

結局ご飯2杯でようやくサバを食べ切れた。それぐらいおっきくて濃い味のサバでした。ごちそうさまでした!!

まあ今日のルートが山しかない。どうせさとるくんの「引き回しの刑」に処されるのだから、いっぱい食べておいて損はないはずだ!カロリー大事!

走りだす前に、写真タイムじゃ~~い!

この息を飲むような青さ。完全なる夏。自由しかない世界だ!!やっほい!

青に映える、さとるくんバイク。かっちょええのぅ。

海と海が青いって素敵。

今日のルート。


ざっと110kmかな。一体どれだけの標高を登るのか…ふふふ、楽しみだ。

では、出発!!西伊豆町までいくぞ!

今日は暑くなりそうだ。むわっと湿気がまとわりつく。

さとるくんは相変わらず元気だ。ばんばか飛ばしていく。伊東市を抜けると、すぐに山岳ゾーンに変わった。

いいよね、こんな峠道めっちゃ好き。この良さ伝わる…?

曇りだった昨日から一転、晴れ空だ。台風一過の空は澄んでいる。

楽しくってたまらない。

坂を登り切れば、空いっぱいに青が見える。下れば海が見える。そしてまた青い空を目指して登る。これだよ、このシチュエーションを求めてやってきたんだ。

高低差は厳しいけど、美しい景色を見せてくれている。うん、伊豆半島って素敵な土地だ。

しかし、暑い…。熱が身体に溜まっていく。

休憩でドクペをいただく!

朝食べたサバがお腹の中で暴れまわっていて、ぜんぜん飲めなかった。飲むと「うっぷ…」ってなる。サバでお腹ぱんぱんになっていた。サバ、つおい。(半分以上残ったドクペをさとるくんにあげたら一瞬で飲み切っていた。お腹大丈夫なんかな…?)

15kmほど進んだところで、城ケ崎海岸到着!!

半島ならではの素晴らしい景色が見られそうでワクワクする…!

門脇灯台!!

1960年に建設された高さ約25mの灯台なんだとか。きれいに見えるけど、もう60年も前に作られていたのか!この灯台は無料で展望台まで上がれるとのこと!なんと珍しい!!

灯台好きなぼくはすっかりテンションが上がって階段をどんどん上がっていく。長い長い階段を上った先には…

うっおおおおおおおお!!!

めちゃくちゃに美しいじゃねぇか!!(歓喜) 遠くまで広がる太平洋と、薄くたなびく雲、そして荘厳な岩!!最高のコントラストを作り出している!!きっれいだーーー!!

もうね。岩よ。岩がカッコいいんだよ。

こんなにも立派にそびえている岩があるんだとは…!!

うっひょおおお!これはけしからんな!!

最近はすっかり岩にハマっているワタクシ、もう堪らんです。これはR18指定もんだ!波vs岩の攻防を眺められるだなんて幸せですよ、これは。

灯台のすぐ近くに橋があるということで、そちらにも向かってみる。断崖絶壁から断崖絶壁に渡る橋なんだけど…

すんげえ怖いの!!

すぐ足元で大きな波が岩にぶつかりに来ている。どぉおん!!どぉおん!!と鳴り響く音と、強烈な潮の香り。風で揺れる足元。もうスリルいっぱい!アトラクション気分で楽しくなる。

断崖絶壁の隙間で荒ぶる波。

「クリーミーでおいしそう」とさとるくんが言い出したときは、やっぱり頭がおかしいのかなと思ってしまった。

いやあ、良かった。城ケ崎海岸は景勝地としてかなりレベルが高いと思う。

海が好きな人ならきっと満足できる素敵スポットですよ。深い青と純白の波がオススメです!!あと岩!!ぜひ岩を見に行ってみてくださいね!

すっかり海を堪能した僕だが、ちょっと体調が優れない。おなかのなかで暴れるサバと、ねっとりとした暑さにやられていた。この後はますます坂だらけの道になりそうだし、さとるくんのペースは早いし、ちょっとこれは死を覚悟するしかなさそうだ…!!くぅ!頑張るかあ!

ここからの記憶があまり残っていない…あまりにも辛かったのだ。

平地は40km/hペース、登りはロケットのように駆け上がり、下りでもがんがん加速していくさとるくん。付いていくのもギリギリで、何度吐きそうになったか分からない。何回も言ってきたけど、さとるくんは人間ではない。ここテストに出るからメモっておくように!

トンネルは涼しくて、なんとか意識が戻ってきた。

ちょっと休憩しようと提案し、運よく見つけたドラッグストアの駐車場で休む。さとるくんはへっちゃらな顔をして何か買いに行っていたけど、ぼくにそんな気力は残っていなかった。

「つよい。さとるくんつよい。このままでは死んでしまう」なんて考えが頭の中がぐるぐるしていた。さとるくんのハイペースっぷりには文句をさらさら言う気はなくって、自分の遅さが悔しくなっていた。スピードだけが旅の本質ではないけど、もう少し速く走りたいもんである。くぅ!!くやしいな!!

そんば僕を見かねて、さとるくんが心配してくれる。自転車乗っているときは全く容赦がないけど、降りれば紳士になるからなぁ…。くだらない話を延々として、休憩すれば体調も良くなってきた。胃の中のサバがかなり消化できたっぽい。よかった!ロードバイク乗りにとって胃腸が命だからね!

まあここまで頑張ってきたし、距離も結構進んだことだろう。もう50km以上は進んできたはずだ。そう思ってサイコンを見ると…距離35kmの表示が…!!

ま じ か よ !!( ゚Д゚)<全然進んでねーじゃねーか!

おかしい、この半島はおかしい!体力と時間を投資しまくっても、前に進めていないぞ!!坂だらけだから、そりゃ進まないもんだけど、ここは異常だ!!さとるくんもこの数字には焦ったようだ。「無茶な走りはやめよう。休憩時間を減らすために、80%でたんたんと走ろう」と約束する。これでラクに走れるだろうと安心していた(フラグ)。

ほんとうに気持ちのいい日だ。

海はおだやかで、山も美しい。

体調も落ち着いてきて旅を楽しむ余裕が出てきた。軽く登って、ゆっくり下っていく。ただその繰り返しだけで、心地よく風が通り過ぎていく。

珍しい地形を見つけては写真を撮り、

誰も通らないトンネルを疾走して、

振り返れば美しい景色が、ぼくらを見守っている。

すっかり好きになった。ここ伊豆半島はキツイ道ばっかりだけど、その分、立体感のあるイイ景色を見せてくれる。海も山も空も風も楽しめる最高の土地だと肌で感じられた。ツーリングにぴったりだ!(ただ自転車旅なら1日70kmまでにしておいたほうがイイかな。ここで100km越えは相当の体力がいると思うよ!)

さとるくんと先頭交代しながら進んでいく。ここでぼくの欲がムラっと出てくる「このアップダウンなら隙をついてさとるくんを置き去りにできるのでは…?いつも置いていかれるけど、ここならいける!」

そう思うが早いか、下りのスピードを利用して先頭に出る。登りでも勢いそのままにヒルクライムオン!むしろ登りで加速していく。いいぞいいぞ、ペダルはキレイに回っているし無駄な力も使っていない。ぐんぐん進んでいく!意表を突かれたさとるくんはきっと追いつけていないだろう。攻めるダンシングでごりごり標高を稼いでいく。

ふっ!ふっ!ふっ!ふっ!短く息を切り短期決戦モードに切り替える。勝負をかけて1分ぐらいだろうか、もう距離が離れていることだろう。いくらさとるくんでもこのアタックには勝てないはずだ。

どれどれ…後ろを確認してみるか。下手したら見えないぐらうだろうな…。にんまりしながら振り返ると…

…い、い、いた!!真後ろにピッタリついてきている!!なんてこったいな!!最高の笑顔を見せるさとるくんを確認したところで、一気に力が抜けた。もうだめだ。何をしても勝てやしない。そう悟った瞬間だった。こんなセコいやり方でも勝てないとは…。ぜぇぜぇ。

そんなタイミングで首尾よく下田市に入れた。さとるくんの反撃を食らわなくて助かった(すなわち死を意味する)。海岸に公園があったのでピットイン!

どうりゃぁあああ!!

ふんがあああああ!!

ド定番ポーズで撮影する。自分の脚と自転車だけでここまで来れて嬉しいね。やったね!

愛車もよく走ってくれる。感謝、感謝。

ちょうど足湯もあったので、休憩がてら入ってみる。

ふぅ~癒しだあ!

さとるくんとだらだらおしゃべりする。まじめな話を少々とふざけた話をいっぱい。ゆるキャン△の音楽をかけながらのんびりと海を見る。こんな雰囲気が大好きだ。乗るときには真剣に乗って、休むときには気を抜いて休む。非日常をたのしむ。自転車旅のいいところってこういうところじゃないかな。誰かといくとなおさら楽しかったりもするこの雰囲気。

結局1時間ほど滞在していただろうか。結局サバのおかげでお腹が減ってなかったので昼ご飯は食べず。コンビニスイーツをむしゃむしゃ。シュークリームうまいなー!

暑くてたまらないので水浴び!!つめてぇ!!

あとは最南端ポイントに立ち寄って西伊豆町へ行くだけだ!ゆっくりでもいいから着実に進むぞ!

曇ってくるといっそう暑い!湿気がムシムシして汗が一向に蒸発しないぞ!!

!?

南に向かうほどに逆風が強まってくる。坂もより一層キツくなってきたぞ!漕いでも漕いでも進めない感覚だ。登って、下って、右にカーブし、左にカーブし…似たような道を何度走っただろうか。無限ループだ。ようやく最南端ポイントに到着!!

石廊崎灯台だぁああああ!!ガスってて海がよく見ない!(涙目)

近くまで行ってみてみたい。パッと見、歩くとかなり距離がありそうだ。でも、伊豆半島の最南端の灯台なんだよ?きっとすごいものに違いない!

てなわけで、片道20分かけて歩いて行った。

歩いて行ったんだ…

ちっこい!!!

がっかりだよ!!(2度目の涙目)

キッチリ施錠もされていてこれ以上近づけないし…。往復40分返してくれ!いやね、朝に行った門脇灯台が立派過ぎてハードルが上がっていたんだよね。勝手に期待していった僕らが良くなかったんだ。うん、そうだ、そう思おう。さとるくんも「なんだよこれ!」ってがっかりしていた。まあ、そう感じるよね…。

海が荒れてきた。ぼくらの気持ちをそのまま表しているみたいだった。

あとは北上して西伊豆町へ向かうだけだ!大丈夫、きっと大丈夫!ここまで走ってきたんだから、問題なく走り切れるはずさ!

きっと大丈夫…

ぶぉぉおおおお!!(逆風)

ぼく「あばばばば」
さとるくん「これはひでぇええwww」

慈悲はないのか!半島の西側に入った途端これだよ。強烈すぎる!!踏んでもペダルが回んねーぞ!!

荒れ狂う風、うねる波、暗く重い空。世界の終焉みたいな景色に変わっちまった!

癒しの半島が、狂気を帯び始めた。

ヤバいヤバい!これは直感でわかる。いやな予感がするぞ!

楽しみにしていた夕焼けはもう見れないだろう。雨も降ってくるかもしれない。風が強すぎて思ったよりも進めない。

お互いに先頭交代して、トップスピードで山を駆け抜けていく。

死ぬぅ…!疲れも溜まってきている。この時間が伊豆半島で一番つらい時間だった。力が出ないのだ。

ぼく「やばい、ハンガーノック来たかも」
さとるくん「俺もちょいやばいです」
ぼく「補給食もってる?」
さとるくん「ないですね、あはは」
ぼく「同じく持ってない…」
(*ハンガーノック:極度の低血糖状態に陥ること。 ガス欠状態)

同じものを食べ、同じ強度で走っていたからだろう。同じタイミングで2人ともハンガーノックになりかけていた。これはまずい状況だ。
あるのは水だけだ。クルマなんて通らないし、助けを求めたい民家さえ見当たらない。

つらぁ…!行き倒れるかもしれない!パワーをセーブしてゆったり登っていく。

どこか。どっかに人工物はないものか!どこか人間がいるところはないのか。そう願い続けて走る。さとるくんもきつそうだ。どれほどの山を越えただろうか。もうすぐ太陽が沈みそうだ。

はぁ…はぁ…はぁ…あっ!

ガソリンスタンドあったぁああああ!

うおおおおおお!急いで駆け込む!自販機見つけた!!

ジューーーース!!

うまうまうまぁ!!カロリーが体中に染み込んでいく。あぁ生き延びた…。よかったぁ~!補給食をまったく持たず、昼ご飯も食べず、ここを走るのはアホだった。飲食店もコンビニも無いんだから、かなり危なかった。命の危機を感じる限界ライドだった。さとるくんもすっかり体力回復したようだ。ジュース一本で250kCal以上あるから、十分な補給になる。ありがたや。ガソリンスタンド、そこにいてくれてありがとう!

あと20kmほど。相変わらず山が続く。

もうメンタルがやられそうである。

こういうツラい時には歌おう!!ヒルクライムしながら歌い始める。さとるくんもすぐ便乗して歌ってくれる。ノリいいね!曲は二人が好きなアニソン!ラブライブサンシャインだ!

熱い歌詞に励まされながらごりごりヒルクライムしていく。大好きな歌をうたっているので、すっかり楽しくなってくる。登りがちっとも苦にならない。気づいたら下りに入っていた。登りに差し掛かるとまた歌いだす。こんなループを何回かしているうちに…

雲が晴れてきた…!

うっひょおおお!!!きれいじゃああ!!

今日一日のがんばりを讃えてくれているような空だ!美しい景色を見せてくれてありがとう!!

ぱしゃり!

素晴らしい一枚が取れた。

偏光している空と、影のさとるくん。うむうむ、いい写真だ。ソロツーリングじゃ撮れない写真を撮れるから2人ツーリングは好きだ。いいね!

こうして振り返ってみると今日は濃厚な日だった。おいしいサバから始まり、サバに苦しめられ、きれいな景色に感動し、坂と逆風に打ちのめされ、最後にまた景色に癒してもらう。良き一日であった。

無事に西伊豆町にゴール!!

前日同様、直感で店を選んで入ってみる。カジュアルな和食屋さんだ。

迷わずに注文するのは、てんぷらと海鮮漬け丼!!

うんまそう!見た目美しさでわかる、おいしいやつやん!!

ひとくちぱくり…おおおおオイシイいいい!さくさく衣とぷりんと弾けるエビ!うまうまうあ!

メインの漬け丼もきた!

きらっきら!

んん!おいしい…まぐろめっちゃおいしい…!繊細な味付けだ!ほかの地魚もぷりぷりの筋肉質でおいしい!噛むほどに旨みがでるやつや。伊豆半島のおさかなってホントにおいしい。

出汁をかけていただくよ!

このスタイル好き。この旅で初めて知ったんだけどね!海鮮を贅沢にいただける一品だと思うの。

ずるずる…とすする。うんめぇな!!鼻から抜ける出汁の香り。引き締まった魚肉…旨みの極みだ!はあ、最上級のご飯だぁ!

お味噌汁の出汁にエビを使っているお店の「上品さ」。

これだけで優勝もんですよ。塩気とエビの風味がマッチしていておいしいことこの上ない!!

満腹になるまでいただきました。ごちそうさまでした!!おいしかった!

無事にお宿に着けて一安心。さとるくんとわーわー騒ぎながら眠りにつくのだった。明日はどんなことが起きるのかなあ。いい旅になりますように。

3日目につづく…

(記事の分量がいつもの倍だった。最後まで読んでくれてありがとうです!!)

このツーリングの様子はさとるくんのブログにも書かれているよ!ぜひ読んでいってみてね!

さとるくんのブログ

続き(3日目)の記事はここから読めるよ!