「ついに来た…待っていた雪の季節だ…」
最高だ!!
人工物も自然物も、ひとしく雪に包まれる世界…たった数か月しか味わえない雪の世界を自転車で楽しめるのだ。最近は、めっきり1人で雪ライドしてニヤニヤする週末を過ごしている。
しかし、とある妖怪さんから「雪ライドして、そのままキャンプやろう~!」と酔狂なお誘いを受けた!
友人であるS.K.さん(ブログ:ぼっちと孤高の分かれ道)だ!
1泊2日で雪上ライドと雪キャンプを楽しもうという計画。装備を全部自転車に積んで、山の中を走り回ろうという、なんともニッチな遊びをともにしてくれる貴重な自転車乗りだ。
今回の舞台の地は、山形県山形市。
ぼくが半年ほど前から住み始めた土地。
典型的な盆地ゆえに、夏と冬の寒暖差が大きい。夏は35℃を超えるのに、冬になるとマイナス5℃の豪雪地帯へと変貌する。
そのため、市街地からたった10kmで雪の山にアクセスできる好立地。今回のコースはこちら。
林間部を30km走るだけで、獲得標高が1,000mに迫る起伏の激しい場所だ。この道を基本として、寄り道しながら大いに楽しもう。
今回のコンセプトは「乗って楽しい、撮っても楽しい」という、ゆるポタフォトライド。2人して一眼レフカメラを持ち出して、最高の景色を写真に収めよう。
さて。そんなわけで、ツーリングの前日。
山形駅まで輪行で来てくれたS.K.さんを迎える。バイクの総重量が25kg超える(輪行中に肩に担いで歩いたら、肩にアザができてしまったらしい…彼に痛覚はあるのだろうか?)
その夜は、自宅に来てもらい
楽しくお酒を飲み、
出典:『冬の山形を走ってきます!』S.K.とりっけいの自転車談義 #20
毎週やっているYouTube配信もこなす。リアル対面で、お互いのギアを見せあっての配信は何とも楽しいものだった。
そのまま一泊してもらい、翌朝。
準備はOK!自宅を出発する。
コンビニで補給食を購入。この先、コンビニはおろか自販機だってほとんどないのだ。念のため、いつもの1.5倍ほどの補給を持っておく。
出発してすぐに気づく…。
朝霧だ…!RPGの「世界の最果て」に来たような錯覚を覚える。
朝8時で、マイナス5℃。想像より冷え込んでいる。しかし、雪が溶けない気温帯なので、2人してにっこり笑ってしまう。
街を抜けて、山を登り始めると、一気に視界が開けてきた。
街はまだ霧に包まれている。路面がガチガチに凍っているので、うっかり足を地面に置くと滑っていく。
カメラを構えると、バシッとポーズを決めてくれるS.K.さん。かっこええ。
踏み固められた雪が、斜度付きのスケートリンクに進化している。
スパイクタイヤで走った方が、よっぽど滑らない。自転車を降りてしまうと、ツルンツルンに足が滑っていく。
斜度18%の坂を上っているときなんかは
ぼく「うわぁああ…!きっつい…!!」
S.K.さん「積載したバイクが25kg超えてるし、ぜんぜん進まない…!」
ぼく「でもここで足を着いたら、シューズが滑りそう!」
S.K.さん「この区間、氷しかない…!」
ぼく「のぼれぇえええ!!」
騒ぎながら、登りを制覇する。
氷結激坂区間を超え、2人ともすっかり汗だく。積極的にウェアを脱いでいく。いくら気温が低くとも、フルパワーでヒルクライムをすれば、どばどば発汗してしまう。レイヤリング、まじ大事。
標高が500mを超えると、「圧雪+新雪」というベストコンディションに変わってきた。
サクサクサクと気持ちのいい感触が、路面から伝わってくる。
ロードバイクでは感じられない、ゴリゴリ進む走破感…。あぁ!!最高です…!
「うわぁあああ!!」と雪道に喜びながら加速するS.K.さん。
S.K.さん「この道、めっちゃいい」
どうやら好みの道を見つけて、テンションが上がっていたようだ。
S.K.さん、画になりすぎ問題。
杉が立ち並んだ背景が素晴らしい。
こんな小さな道でも、除雪車が通っていったみたい。ぼくらには最高のプレゼントだと思う。
ちょっとここで、バイクの紹介もしておこう。雪の上を走るための自転車ってのも、珍しいものだと思うし。まずはS.K.さんバイク。
Bombtrack Hook EXT 2021
グラベルロードに、アイススパイカープロを履いている。タイヤ幅2.25インチ(約57mm)と広く、グリップがかなり効くので、不安定な雪道でも安心して走れるタイヤだ。冬北海道ツーリング(キャンプ込み)の事前チェックのため、たっぷりのパッキング仕立てになっている。サドルバッグ下に、マットを括り付けるアイデア、とってもいい…!
続いて、りっけい(私)バイク。
FUJI JARI1.3
グラベルロードの代表格でもあるFUJI JARI。フロントタイヤには、今年から導入している45NRTH KAHVAを。リアタイヤは、シュワルベ ウインターマラソンを履いている(パーツが届けば、フロントと同じタイヤに変更する予定)。最低限の装備だけで挑んでいるので、パッキング量も少なめ。思い切って、ハンドルバーバッグをなくしたので、バイクの安定感も◎
ここからはお互いに走りながら、バシバシ撮影していく。ダイジェストで紹介していこう!
曇り空に、一瞬だけ陽射しが!シャッターチャンスだ!
うわほーい!!
絵本の世界みたい。
あぁああ、これだよ!!これこれ!!
除雪車さん、ありがとう!
冬の東北って、キレイすぎませんかね?
(雪玉を投げて遊ぶ、レアなシーンのS.K.さん)
好きなだけ走って撮影して大満足…!「ゆるポタフォトライド」は大成功だ。いったん山を下りて、今夜のご飯や補給を買いに行こう。
補給食が昼食代わりだったので、コンビニに売っているものがどれも輝いて見える。欲望のままにウインナーやチャーシュー、チーズなどをかごに突っ込んでいく。
フロントフォークに装填される天然水。
さあ、ここからは雪上キャンプだ。新雪を踏み固めて、テントを張り、服装と荷物を整える。
さあ夜の時間だ!
持ってきたフリーズドライのご飯にお湯を入れて、ウインナーを茹でる。日も落ちて、ツンと冷たくなってきた空気の中、ホカホカのウインナーご飯を頂くのは格別においしい…!
S.K.さんと頻繁に話しているはずなのに、いつも以上に饒舌になって何でも話してしまう。キャンプの解放感が、そうさせるんだろうか。
寝る前の締めに、ラーメン!これにもコンビニで買っておいたチャーシューと煮卵を入れていただく。世界一うまいラーメンだと思う。
さて就寝…。外気温はおそらくマイナス5℃ほど。ぼくの装備じゃ寒くて、2~3時間おきに起きてしまった。
夏用のエアマットじゃ、雪面の冷気が背中に突き刺さるようだった。
朝、起きだしてみると。
自転車がバリバリに凍っていた。
ビューティフル…。
白と黒のコントラスト、とてもいい。
コーヒーを入れるS.K.さん。
暖かい飲み物を飲んで、テントを片付けて、撤収する。そのまま山を下りて、帰路に着いた。
こうして1泊2日の雪ツーリングが終わった。
見たことのない景色をたくさん写真に収められて、大満足な遊びだった。
おわり。