データで振り返るR6キャノボ【520km/23時間35分】

ロードバイク

国道6号線キャノンボールを無事に達成できた。なので、ちょっとその振り返りをしようと思う。

今回は、仙台→東京の520kmを、23時間35分で走り切ることができた。しかもグラベルロードという未舗装路向けの自転車で。幸運が続き、なんとか達成ができたという、ギリギリっぷり。

誰の参考になるか分からないけど、走行データを細かくまとめてみた。

戦略や機材については準備編に、当日のレポートは前編後編に書いているので、よかったら読んでみてね。読まなくても大丈夫だよ。

ペース

今回のルートは、仙台→東京間の520km。

R6を基調としながらも、太平洋側に沿って走った。

「前半12時間は、信号の少ない快走区間なので移動速度は高い」「ラスト3時間は大きく失速するだろう」と目論んでいた。

では、実際の走行ペースを見てみよう。(ここでいう「時速」とは、停止時間も含んだグロス平均時速のことだよ)

4つのデータを1枚にまとめている。青色の棒グラフがメインデータである「1時間置きの平均時速(区間時速)」だ。

赤色の折れ線グラフは累計距離だ。

8時間目にお昼ご飯休憩をとっていることを除けば、0~12時間は予想以上のペースで走れていた。要求グロス速度(緑の横線)の21.7kmに対して、この区間の平均時速は24.4km/hと、大幅に余裕を持てたことになる。

しかし、13時間目の晩ご飯休憩、14~15時間目の帰宅ラッシュ。これにより距離を稼げなくなってしまう。

16~18時間目で銚子~九十九里町付近で風にも助けられ、時速を取り戻す。交通量も落ち着いて、信号も少ない区間だったので、稼げるラスト区間だった。

19~21時間目では、小さな峠と雨により、気持ちと体力が削られて、失速してしまう。予想外の雨により、疲れが爆発して気持ちが折れそうだった。

22~23時間目では東京近郊の信号区間に、行く手を阻まれて、大幅に失速。これはどうしようもないので、諦めるほかなかった。

その結果、前半と後半では顕著に進捗の差が出た。

「体力の低下」「天候の悪化」「道路状況の難化」が要因で、後半におおきな失速が発生したんだろう。しかし、前半は快調だった。

前半のペースがよかったのに理由があった。それが風向きが好条件だったことだ。

風の状況

実際に走っているときには、常に風が味方をしていた。

夜になると風が収まるかと思いきや、銚子付近では強風となって背中を押してくれていた。思いがけないラッキーだ。

しかしラスト70km。西へ向かうと今後は向かい風に…。

「おおむね、いい風だったと思う…だけどただの気のせい?」と気になった。実際の風向きや風速はどうだったんだろう?

気象庁の「過去の気象データ検索」サイトから、データを拝借してまとめてみよう。

今回の走行データを基に、「どの市町村を、何時に通っていたか」を算出する。気象庁サイトから、市町村単位の気象データを引っ張ってきて、スプレッドシートに張り付ける。

このデータだけでも十分すぎるけど、もうすこし視覚的に分かりやすくしてみよう。

風向きを地図に落とし込んでみた。矢印の向きが風向きを、大きさが風速を示している。

今回は仙台→東京ルートなので、進行方向と風向きがほぼ一致している。

このときは千葉県方面に低気圧が停滞していて、安定して南方面へ風が向かう気圧配置をしていた。その低気圧のおかげで、千葉で雨にも遭ってしまったわけだが。

風速の数値も入れ込んだのがこちらのマップ。

序盤200km区間は2.0m/sほどの追い風が、200~300km区間では3.0m/sほどの追い風が味方してくれていた。

ラストの70kmほどは北西へ進むため、風に真っ向から逆らう形になってしまった。しかし「体力が低下していること」「信号が増えていく区間」なので、逆風の影響によるペースダウンにはつながらなかった。

こうしてみると、行程の8割以上が追い風(しかもペースの稼げる区間での追い風)を受けられたのは本当にラッキーだった。

決行候補日を週末x2回にして、風向きのいい日を待ち構えていたら、期待以上の好条件の日を迎えられた。

気温

気温についてもすこし触れておこう。

サイコンの測定データは以下のように、キャノボに最適な気温帯だった。

平均気温:12℃
最高気温:19℃
最低気温:8℃

今回はおおむね曇りが続き、過度に暑さと寒さを感じることがなかった。

南北方向に進行するR6キャノボは、気温が大きく変化しやすい。しかし今回はそこもうまくクリアできていた。

朝に仙台をスタートして、最も寒い深夜~早朝を千葉県で迎えられたからだ。昼には緯度の高い宮城・福島エリアを通過し、寒い夜には緯度の低い千葉・東京エリアを走るという、緯度差をうまく活用できた。

ただ正直にいうと、早朝~昼までが少しつらかった。

スタートしてから5時間ほどは、曇り空が続き、風も冷たく、気温も10℃から上がることがなかった。体が温まることなく、冷たい風を浴び続けるのはすこし堪えた…昼過ぎからは太陽が出てきて、体温も上がって救われた…太陽は偉大だった。

カロリー収支

カロリーについても紹介してみる。

きちんと食事を摂ったのが、「出発前」「8時間経過の昼ごはん」「13時間経過の夜ご飯」だ。それ以外は、コンビニで購入した補給食だ。

当日に摂取したご飯と補給食を、一覧表にしてみた。

すべてコンビニで調達できるものだ。コンビニストップは3回、自販機ストップは3回で、補給のためにストップしたのは計6回。

2回目のコンビニでは、昼食に「オムライス」を、3回目のコンビニでは、夜食に「牛めし」を食べている。割としっかり食べたのにも関わらず、合計の摂取カロリーは、存外少なく5676kcalだった。

成人男性の1日の摂取カロリーが2200kcalなので、2.5日分だ。そこだけ見るとカロリーは大きそうだが、なにしろ今回は24時間も自転車で走っているのだ。

1つの基準として、自転車で走る場合は「1時間に300kcalが必要」だと思っている。24時間走るなら、300×24=7,200kcalが、摂取すべきカロリーになってくる。

7,200kcalに対して、5676kcal…1,600kcalもマイナスだった。しかし、過去のR7キャノボやR8キャノボの実績を見ても、ぼくの体では24時間に摂れるのは5,000kcalのようだ。

体の限界まで酷使して食べているので、これ以上のカロリーは望めないと思う。

あとタンパク質について。正直、カロリー摂取ができないことはわかっていたので、今回はタンパク質を多く摂ることを心掛けていた。

自分の中に基準がないので分からないのだが、タンパク質を167gを摂れたのは十分ではないかと思う。成人男性は1日75gが基準なので、2日分以上は摂取できている。簡易的な食事と補給食だけで、ここまで摂れればOKだろう。

走行データまとめ

サイコン(Garmin Edge530J)で測定した走行データも、載せておこう。

走行距離:520.65km
獲得標高:2,393m
経過時間:23:35:18
走行時間:21:37:32
グロス速度:24.1km/h
ネット速度:22.1km/h
平均気温:12℃
最高気温:19℃
最低気温:8℃

パワーメーターやケイデンスセンサーを持ち合わせていないもので、パワーに関するデータを出せなくてすみません…!

ストラバのデータはコチラ。

コース

事前に引いていたコースはコチラ。

最大標高が130mという、ド平坦コースだ。

まとめ

こうしてみると、「風向き」「信号の少なさ」に救われていたことがよくわかる。

ほんのすこしの追い風でも、長時間ライドのキャノボにおいては大きなアドバンテージになる。今回は風を存分に生かして、走り切れたのが大きな成功要因だと思う。

そのほかにも、摂取カロリーを身体の限界値(たぶん)まで摂れたし、気温に体力を奪われることがなかった。マイナス要因を排除できたのも、次点ながら成功要因だっただろう。

「国道6号線キャノンボール」の走行データまとめという、誰の参考になるかもわからないようなマニアックな記事だけど、ほんのわずかでも誰かの走りの手助けになっていればいいと思う。

画像
本当に長い長いチャレンジだった。

でも、自転車で長距離を走る楽しみは、何事にも代えがたいことだと思う。

おわり。

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準備編
前編
後編

チャレンジの様子は、YouTubeにもアップしているよ!