カーボンリムがぶっ壊れたので、ちょっと話してみようか【熱割れ】

ノウハウ

暑い日。ダウンヒル中のこと。

ピシッ…ピシッ…ピシッ…何かイヤな音がする…。

降りてホイールを見てみると…

ぎゃ…ぁあぁあああ!?


リムが割れとる!

明らかにブレーキの挙動がおかしいと思っていたら、まさかリムがぶっ壊れるとは!!このホイール…18万円するんですけど…。


さて、今回はカーボンリムが熱割れした話をまとめていこう。

というのも、こんな悲劇はもう起こってほしくないからだ。忘備録、忘備録。リムが大破すれば落車する可能性もあるし、周りを巻き込む事故になるかもしれない。

リムブレーキ車のカーボンリムのライダーさんはもちろん。それ以外の人にもぜひ読んでもらいたい…!発生原因と対処方法をメインに話していこう。

使用機材

今回、熱割れしたのはREYNOLDS ASSAULT(レイノルズ アサルト)というカーボンホイールだ。


創業100年以上のアメリカブランドのREYNOLDSが手掛けるホイールだ。ぼくはこのホイールが好きであちこちを一緒に走ってきた。四国一周タイムアタックや一週間以上のツーリングだって共にしてきた。

あまりに良くってインプレ記事を書いたほどだ。インプレ記事はこちらから

ちなみに、当日はこんな機材セッティングだった。もう1年以上変わらないセッティングだったんだ(過去形)

ホイール:REYNOLDS ASSAULT SLG 2016
ブレーキシュー:SWISS STOP FLASH PRO BLACK PRINCE
タイヤ:Vittoria corsa 25C
チューブ:Panaracer R’AIR

*空気圧は前後とも7気圧

発生したシチュエーション

さて、どんな発生状況だったのか振り返っていこう。

7月18日。
この日は友人と3人で、群馬の名峰、榛名山(はるなさん)をヒルクライムしていた。

標高1100mでも気温30度だったのはよく覚えている。山頂の榛名湖でちょっと休憩。

お昼ご飯を食べるため、日なたで1時間ほど駐輪していた。(これが壊れる直前の最期の写真)

ご飯を食べた後は榛名湖のまわりをウロチョロ走って、下山することに。

榛名湖から100mほど登って、ダウンヒル開始。ここからが悲劇の始まりだった。

地図で見てもわかるほどの、ヘアピンカーブの連続!連続!うー!!

僕の頭の中で「これはヤバいぞ、明らかにブレーキ回数が多い…。リムに熱がかかると割れるらしいし、ブレーキ回数を減らそう」と考えが至る。ブレーキを長く掛けないように、一瞬だけ強く握り、あとは開放する。

なるべくそうしていたいが、ヘアピンカーブがそれを許さない!!斜度は8~13%もあるんだから!!(下り13.4%の看板がほんとにあった)

あああ~~~~!ダメダメ!!ブレーキ握っちゃう~~~!!!

…。

あれ?

ブレーキが押し返される。グッ…グッ…グッ…と周期性がある。よく音を聞くとピシッ…ピシッ…ピシッ…何かイヤな音がする…。

ぎゃあああ!!!!!リムがおかしなことになってる!!!

降りて確認して愕然とする。いや、まさか…気のせいでしょ?思わずリムを触る。

アッチィ!!!!

脊髄反射で手を引っ込める。あかん、これあかんやつですわ。やっぱり熱でリムが変形してまっせ。


熱で柔らかくなったリム。そこにチューブの空気圧で、内側から押されたんだろう…。

この時点で標高770m。気温30度で標高1100→770m下るとこんなことが起きてしまった。

あああ…オワタ…オワタ…。

愕然とする友人さとるくんと、必死に写真を撮る私

この写真、リットン調査団とそっくりな構図で笑った。

対処方法

あ~、これはやばい!どうしよう!!

友人のさとるくんとヒロちゃんに相談する。ここは標高770mの山の中。周りには民家もなければ、駅なんかあるわけがない。つまりエスケープができない。

さとるくん「auロードサービスに入っているので、自転車を取りに来てもらえるかも」
ぼく「え、それはありがたい!けど僕は入ってないからなぁ」
さとるくん「う~ん、もしサービスで自転車を移動してもらえても、本人は自力で移送しなきゃなんですよね…」
ぼく「それはきついな…駅まで20㎞あるし…」

結局、ゆっくり下って駅まで行こうという結論に至った。
前輪だけが熱割れしているので、なるべく後輪ブレーキで行こうと。安全第一でゆっくり下ろうと。

なにか問題が起きた時にフォローしてもらえるように、さとるくんとヒロちゃんには後方についてもらい、僕先導でダウンヒルする。

自転車を日陰で涼ませること10分。これでホイールはかなり冷えただろう。

ゆっくり下っていく。だが、相変わらず斜度はきつい…なるべく無駄のない動きでブレーキを掛けず…。

どうしても、ここはブレーキを掛けなきゃ…

!!!

トゥ…トゥ…トゥ…トゥ…。お尻が突き上げられる…しかも周期的に!

いやいや、まさか…そんなそんな…アハハハ…あるわけないよ。

はい、後輪もパッキリ熱割れしました!!!!いやっほい!!!!!おめでとう!!!!!

これで未練なくREYNOLDSホイールとお別れできたね。おめでとう、おめでとう、自分……はぁ…。

リムが完全に浮き上がってやがる…。

完全に後輪も終わりましたね。空気圧を下げてこれ以上割れようにする。

なんとかブレーキは効くことが確認できた。

ので、細心の注意を払って残り10kmを走る。大好きなホイールが壊れたことで、心もぶっ壊れそうだったけど。

この際にはさとるくんとヒロちゃんの協力なサポートをもらい、超安全運転で駅まで走りことができた。本当によかった…。

ブレーキシューはズタボロだった。よくぞ頑張ってくれた。

発生原因は?

リムが明らかに変形している

まあ結局、熱がかかりすぎた。これに尽きる。

ブレーキシューはカーボンリム専用のSWISS STOPのBLACK PRINCEを使っていた。まあ高価なブレーキシューなんですよ。いやはや…。

乗る直前は炎天下で1時間駐輪し、気温30度の中を標高1100→770m下るとこんなことが起きてしまった。熱がかからないようにブレーキングをしていたのにも関わらずだ。

経年劣化も考えられる。実はこのホイールは中古品で、ぼくは3番目のオーナーだった。実装距離は合わせて1万kmちょいだった。距離的には大したことないが、製造年からすると5年以上経過していた可能性もある。(それにしても壊れるには短い期間な気もするけど)

やはり、熱がかかりすぎたのが原因だろう。

まとめ


今回の僕のケースはラッキーだった。

ホイール大破ではなく、リムがきれいに残ってくれた。落車せず事故を起こさず…まだブレーキを掛けられる状態だった。友人2人にも大いに助けられてなんとか駅までたどり着けた。

早めに異常を感じ取れて、すぐに停車できたのが功を奏した。

「熱をかけすぎると、カーボンリムが割れる」と知っていたから、すぐに停車ができたんだと思う。

大好きなホイールは全く使えなくなってしまったけど、怪我なく帰ってこれただけでも良かった。

壊れたホイールはインテリアになりました。

みなさんの夏の時期のダウンヒルにはよ~く気を付けてくださいね!
・直射日光で駐輪しないこと
・ホイールを冷やすために日陰で休憩しながらダウンヒルすること
これぐらいしか対策がないんだけど。そもそも夏はカーボンリムを履かない方がいいかもしれない。

あ~。これでまたディスクブレーキロードを買う理由ができてしまったなぁ(喜び)

おわり。