ふぁ~あ…。
あくびをしながら、身体をのっそり起こす。ん…ここ、どこだっけ…?
そうか、徹夜ライドしてきてネカフェに着いたんだった。
前編の記事はここから読めるよ!
いまは13時を過ぎたぐらい。
いまから走り出すのもいいけど、なんとなくゴロ寝したい気分。旅に来ているのに、だらだらするってのが最近のお気に入り。旅は頑張らないスタイル。
持参してきたキャンプ道具を引っ張り出して…
寝袋に包まれる。
マンガを読みながら、のんびりゆったり過ごた。「NEW GAME!」の青葉ちゃん可愛すぎか?
…
時計は一周まわり、結局24時間も居ついてしまった。快活CLUB(ネカフェ)の居心地が良すぎる問題。
朝7時。準備は整った!
今日のプランは、なんとなく南へ!
もとから全くのノープラン旅。気の向くままテキトーに。
始まりもテキトーだった。なんとなく新潟へ行きたくって、なんとなく徹夜で走って、ネカフェでだらけてみた。
このゆるさが面白い。好きなことを好きなだけやる。
コンビニの駐車場でカロリーメイトを頬張りながら、今夜の宿を調べる。今回の旅の楽しみのひとつに『ツーリング中にキャンプをしてみる』を入れてみた!
こんなの初めて…。
キャンプ場なんかを調べてみる。ふむ…無料のキャンプ場があるのか。ちょっと遠いけど、夜遅くについてもチェックインがなさそうだし大丈夫かもしれない。
よし、150km先の上越市を目指して走ろうか。
「ツーリング中にキャンプをしてみる」
ちょっと背伸びした目標で胸がわくわく沸き立つ。
8時半で気温は32℃。豪雪地域でも夏はしっかり暑いというね。
にゅっと聖地巡礼に寄り道。
ここには“新潟市道路元標”がある。
ここが国道7号線、8号線の起点になる場所だ!!
7号線は青森市へ、8号線は京都市へ伸びている。ここから“7号線キャノンボール”をスタートした僕にとっては特別な場所だ!あのときは515㎞を24時間切りできてうれしかったなあ。
強烈なライドだった分、当時の気持ちをありありと思い出せる。なんだか懐かしい。
海沿いの道はまだかな~。
湿気た空気が頬を叩いた瞬間、パッと視界がひらけた…!
うぉお!!来た!!!日本海だ~~!くぅ~~~!
たまらん…この立体感がたまらん!!
潮の香りが嗅覚を刺激し、水分をたっぷり含んだ夏の空気が身体にまとわりつく。これぞ海の空気だ。やっぱり海沿いってのはこうじゃなきゃ!(歓喜)
海岸線ってのは、勾配に富んでいる。数十mを登ったり降りたり、延々とアップダウンが続く。
関東では伊豆半島、関西では紀伊半島なんてのも、同じような特徴だ。島国である日本の地形ならでは何だろうかね。
う~~ん、100点!溶けて消えそうな淡い青の世界。
たった一人で独占できる贅沢と言ったらもう…!!ニヤニヤしながらひた走る。
ただこれだけ景色がイイってことは、その分、太陽もおおいに降り注いでいるわけで…
あっつい…!!こんがりいっちゃってるよ!
時計の短針はすでに最高点をまわった。「そろそろ何かお腹に入れておきたいな」と思っていると…ガヤガヤガヤ。
お!
出店がいっぱい並んでいる!
ここは“長岡市寺泊 魚の市場通り”という市場らしい…!うっひょー、テンション上がるなあ。
しっかりマスクを着用して散策する。
あらじーるー!
かーにー!
ほたーて!!
ホタテの串焼きいただきまーす!もにもに感のあるホタテがおいしい…!噛むほどに出る旨みとしょっぱさが、汗をかいた体に染み渡っていく。うんまぁ…。
ちょっと日陰で休憩。まだ身体が暑さになれていないのか、自販機で買った500mlペットボトルを2本も消費していた。気を付けていても水分補給が追い付いていなかったんだなあ。
相も変わらずの絶景を横目に、小一時間ほど漕いでいると…
首尾よく道の駅を見つけた!
ここでお昼ご飯を食べていこう。
ふぅあ~!空調の効いた店内が気持ちよすぎる…。
“本日の2色丼”なるものを頼んでみる。
今日はタイとブリの2色丼のようだ。
ふんま!!! ブリが!!ブリがとろける!!脂肪たっぷりのふりふりの身だ。あぁおいしいなぁ。大好きな日本海を眺めながらの食事。キレイな海にはおいしい魚がいる。これこそが世界の真理なのかもしれない。あぁ幸せでしかない丼だった!ごちそうさまでした!
いやぁ、やっぱり海ライドはいい。大好きな海を見るだけじゃなく、海の幸まで味わえてしまう。自転車でツーリングするなら、やはり海沿いってのは外せない。
走っているぼくの視界がこれである。
とても現実世界とは思えない美しさ!たぶん天国ってこんな色してるんじゃないのか…。 自転車というスピード感が心地いい。ゆったり流れていく景色。フロントガラスなんてものは無く、何も介さない肉眼で直接堪能できる。風だって、香りだって、波音だって、路面からの振動だって、ダイレクトに感じ取れる。
どこまでもアナログで、大したスピードも出ないけど、原初的な楽しみを教えてくれる自転車が好きだ。
景色に見惚れるのもいいんだけど、休憩はしっかり取る!
もう身体が訴えてくるの…『 2時間に1回は休憩をとらないと、くたばってしまうぞ』と。
クーリッシュで身体のほてりを取って走りだすが、一瞬で汗が噴き出る。
日が傾いて気温が下がってくる。31度を表示する気温計を見て「あぁ。涼しいなぁ」なんて思う。
さあ今日のゴールまであと少しだ!!踏ん張っていくぞ!まずはキャンプ場まで行って、テントを設営しよう。そのあとは温泉入浴して、海の幸を味わって、コインランドリーへいこう。
ブーストをかけたおかげか17時にキャンプ場に到着!予定よりも2時間早くついてしまった…!けどその分キャンプ場でゆっくりできる。ラッキー、ラッキー!
いざ、いこうか…!
ん?入り口に張り紙が?
なになに?“キャンプ場利用の制限について”…?
“新型コロナウイルスの感染を防ぐため 当キャンプ場の利用者は当面の間”
“新潟県内在住の方のみの利用に限定します”
まじか!まじか!!まじか!!ぼくは隣県の“山形県在住”だ!これじゃ利用できないってことか!
ネットにも情報なかったし、こりゃ想定外だわ!!!
いや、よくよく考えたらこういう対応されているのは当然のことだろう。『予約不要の無料キャンプ場だから、電話しなくていいかー』なんて軽く思ってたけど、やっぱりこういう対策は取られてるよね…。 今晩どうしよ…。
上越市の方針で『キャンプ場は新潟県民または長野県民に限定』が推奨されてるようだ。
ほかのキャンプ場も調べたがやはり他県民は入れないようなので、今夜も快活CLUB(ネカフェ)に泊まりますかね〜。 宿トラブルのとき、いつも快活CLUBに助けられてるな。
『今回の旅はキャンプツーリングする!!』って決めて、道具をたっぷり持ってきた!
けど、キャンプ場の入場規制で入れなかったな…。うーん、キャンプはまた次やりましょ!! たくさんの荷物でいいトレーニングになったわ!!(泣)
気を取り直す。こういうイレギュラーが起こるのも旅の醍醐味のひとつなんだ、きっとそうだ…。
慰めてくれたのは夕焼けだった。
あぁ自然ってやっぱり美しいな。
自然vs人工物って対比が好き。 この空気感、GOING UNDER GROUNDの『トワイライト』という曲の雰囲気と重なる。学生時代に300回は聴いた曲だ。風と稲穂とアカネ空~、歌詞通りのそのまんま世界だ。
GOING UNDER GROUND/トワイライト
信号待ち中。なにげなしに視線が向けた先にお店があった。
直感「お、あの店構え…駐車場の車の数…雰囲気…」
ぼく「もしかして?」
直感「あそこは“おいしい”お店だ!!間違いない!!」
ぼく「おっけ!いこう!」
旅先での直感を大事にしているぼく。こんな時はたいていおいしいお店に出会えたりする。
ぬるっと入店。
店内はほとんど満員だ。家族連れや飲み仲間ぽい人たちであふれている。
いっらっしゃいませ~と出迎えてくれた店員さんは、唯一開いていたカウンターの一席に案内してくれる。
『あ、この人は自転車乗ってきたんだな』と店員さんが察してくれて、スっとお水のピッチャーを出してくれた。心遣いが嬉しい…。
もう雰囲気でわかる、ここメッチャおいしいお店だ!!“定食Cセット”を頼んでみる。
『欲望ぜんぶ載せ!』みたいな定食がやってきた!!
ハチャメチャに美味しくてびっくりした…!納トロ丼も、ラーメンも、エビフライも、どれもこれも絶品なんだが!! 食べたいものがふんだんに載せられた定食、めちゃくちゃ美味でした…!!店内は地元の方たちでほぼ満席だし、居心地いいし、とてもいいお店を見つけてしまった…! ご馳走さまでした!(上越市へいくことあれば割烹 池田屋さんへ行ってみてね!)
すっかり真っ暗になった道を走ってようやくお宿に到着!!
ネカフェに泊まるつもりだったけど、ホテルに変更した! ダブルベッド、朝食付きで1600円は安い…!
コロナの影響で観光業が大ダメージを受けているのは知っていたけど、ここまで安くなっているとは思わなかった(クーポンも使ったけど)。
しかも温泉つき!
どれだけ汗にまみれようが、虫がまとわりつこうが、草木の粉がひっつこうが、一日の終わりに温泉に浸かれば全ては報われる…(真理)
ふぃ~!ベッドで横になると、頭がボーとする。大絶景だらけで楽しい一日だったなあ。まどろんだ頭で振り返っていると、いつの間にか寝落ちしていた。
この日は160kmも走れて大満足!
次の日は新潟市へ引き返すだけの簡単なライド!
追い風マシマシで一気に駆け抜けた。
途中見つけた海の家でかき氷を買ってみたが、絶品すぎて脳がとろけた。
そんなわけで復路150kmほどをサクッと走って3日目は終了!
新潟駅にゴール!!
これにて3日間450kmの旅が終わったー!ハチャメチャに楽しい時間だった!!
大好きな日本海に包まれ、おいしいご飯をたらふく食べた。キャンプができなかったのは残念だけど、またチャレンジしてみよう。夏のいい思い出がまた一つできてしまった。
この後は自転車を解体して袋に詰めて、5時間かけて電車で家に帰った。
いやぁ、楽しい72時間の旅でした!!
おわり。