今回のツーリングはよかった。とてもよかった。
身近な山があんなにも楽しい場所だったなんて…!!
この記事は「東北の山ってこんな雰囲気なんだ」って読者さんに感じてもらえれば嬉しい!
細かい道や山の名前は無視していくよ!ローカルすぎるからね。(どうしても気になる人はツールドさくらんぼのグランフォンドコースを見ていってね!ほぼこの道だから)
今日の走ったルートはこんな感じ。
標高差を見るとエゲツナイ。命を刈り取る形をしていやがる。
さてさて、このツーリングは会社の先輩の長井さん(仮名)と行ってきた!ここ一帯の山を知り尽くしている、頼れる先輩ローディーだ。今日はよろしくお願いします!!ツーリングはお初ですね!
ガッツリの山コースだと聞いていたので…
ホイールはDura-ace c24という軽量ホイール。まあ山岳用のチート機材ですな。軽すぎる。
さあ、しゅっぱーつ!
空は晴れていて、気持ちいい!
今回の目的はお山をゆるゆる登るだけの簡単なライド。ヒルクライムでも無理せずに行くんだ、ゆるく走ろう。
ここらには昔からの村の雰囲気が漂っている。美しい緑に囲まれた穏やかな住所群だ。
早速登り口へ。これが第一の山だ。
始めのうちは5-8%と決して難しくない。ぼく好みの傾斜で思わずニコニコしながら登る。
「このカーブは、これぐらいのスピードで」
「ここはダンシングよりも座って漕げばいい」
脳内シミュレーションをしながら坂を越えていく。自分が考えている以上に、きれいに速く登れた時の快感っていったら…!!最高に気持ちよくってたまらない!!タン、タン、タンとペダルを回せば、勝手に標高を稼げている感覚。髪は汗でしっとり濡れて、顔に虫がまとわりついてくる。この不快感も含めてヒルクライムなのだ。あぁ~~楽しい!!
頂上間際のラスト4km。
斜度がググっと上がる。10%を越える急勾配に変わってくる。ひと踏みひと踏みに掛けるパワーも段違いになってくる領域だ。ごりん、ごりん、ごりん…と体重をかけて車体をむりやり上げていく。顎からも汗が滴り落ちバイクを濡らす。お尻と脚もツラくなってくる。くぅ…ギアが足りないぞ!もっと軽いギアを導入したい…!!すこし悔やみながらも登る。ペダルを踏むごとにゴールは近づいている、きっと大丈夫だ。と心の中で唱える。あと少しだけ頑張ろう!!あと少しだけ…!!そう唱え続けて20分。
…おっしゃオラァ!!登頂じゃい!!!
ふぅー!耐えに耐えたあとの!!登頂ゴール!!エクスタシーを感じる!!
あ ぁ 快 感 … !
最後まで失速しなかったのは、ホイールのおかげだろう。いろんな踏み方にも対応してくれて、素直に進んでくれる。クセがないのがいい。
ちょうどいいところに
給水ポイントが!
天然水だ!かなり冷たくって、火照った身体にはピッタリだ。おいしい、おいしいぞ、ここのお水。
クルマで来て、何十本ものペットボトルに詰めていく方もたくさんいた。わざわざ標高700mまで水を汲みに来るとはすごいな!
これも山遊びの楽しみだったりする。湧き水がいっぱい出ていて、好きなように飲めるのだ。自然のめぐみを得られるいい文化だと思う。
ひと山を下った後は、お昼ご飯!
とんかつ定食をいただく!!
ふぅううんまあ!!さくさくの衣にたっぷりのお肉だ!!山菜の小鉢もついていて栄養もバッチリ。なによりも白米がうまい!さすがはコメどころの山形。粒がぷっくりして美味しいのだ。ごちそうさまでした。ツーリングでいただくご飯はほんとに身体に染みる。
このあとはのんびりコースをたどる。左手にはダムがあり、すぐ右手には切り立った山だ。細かなアップダウンを越えていくだけ。
大阪でいうところのグリーンロードに近い雰囲気。ほんとのどかなところなの。(人も車も信号すらない)
ぼく「ここの道がめちゃくちゃ走りやすいですね!路面はキレイで交通量も全然ないですね!」
長井さん「そうだね~!いい道だよね!けど、これも税金で作ってるからなあ」
ぼく「Oh…税金で作った道に誰も通らないとは…」
長井さん「まあ、俺たちが走ってこの道を有効活用してあげようぜ!」
ぼく「それっきゃないですね!」
なんてのんびりおしゃべりしながら進んでいく。にしても、この長井さんのフォームが美しい。後ろについているとよくわかる。腰から上が全然ブレないのだ。安定して走れているが故の安心感が半端ない。それもそのはずでロードバイク歴が12年目というかなりのベテラン。得意な走りがロングライドというね。そりゃあ無駄な動きが無いわけですよ。誰かと走ると、こうやって勉強になることが多い。パーツ構成だったり、荷物の量やまとめ方だったり、個々のノウハウがあったりするのだ。学べるのほんとありがてぇなあ。
30km/hを下回らないペースで走っていたが、どうやら長井さんの様子がおかしい。
長井さん「足つりかけて全力で踏めなくなってきた」
ぼく「ひぇ!?」
長井さん「この先を寄り道すれば、かなりの激坂があるからそこ行っといでよ」
ぼく「ひょえ!!」
体力が余ってるなら、おもしろい激坂へいってみたら?という提案らしい。まあここまではゆるゆるライドだったし、体力は残っている。
長井さんがオススメする激坂ってのもオモシロそうだし、いっちょ登ってきますかなーー!
ぼく「じゃ、お先にいってきます!」
長井さん「いってらー!」
とりあえず激坂入り口まで駆け抜ける。淡々とヒルクライムしていく。暑く湿気た空気がまとわりついてくるが、全然問題ない。いまを楽しく登れていればそれでいいのだ。
ついたここだ。ここからが例の激坂だ。
この時点で”かなりヤバい”雰囲気がプンプンする。わかる。直感でわかる。この山、ただものじゃない!!
だけど登るっきゃない!登ってみたい!!
いっくぞーー!!と勢いよく登り始めた!が…。す、進めねぇ…!全力でペダルをひと踏みする。だけど時速が3km…なんでだよ!!
正しくギアが入っていないのでは!!と急いで確認してみるが、すでにインナーロー(一番軽いギア)だ!なってこったい!
ふんぬ!ふんぬ!!会心の一撃を打ち込むようにペダルに力を込めるが、ちっともバイクは進んでくれない。すでに90km漕いできた脚にはツラいものがある。ふんぬぅぅううう!
ぐちゃぐちゃのフォームの立ち漕ぎだ。ぐいん!ぐいん!と力を込めたとき…
ツルン、と後輪が空回った!あぶねぇええ!!なんだなんだ!!
…原因はコケだった。
こやつのおかげで後輪がつるつる空転する。オゥマイガッ!!!油断すればコケるぞ、これ。
危ない、危ない。これで立ち漕ぎができなくなってしまった。座り漕ぎでバランスを取っていくしかない!
ふぅおおお!くぅああああ!!
と1人で叫びながらペダルを押し込んでいく。もう変質者の域だった。
あとから調べると平均斜度15%、最大25%以上というクレイジーな道だった。
写真にすると、コレだよ?
感覚的には這いつくばって上がっていくようなもの。もうエゲツナイ。
クルマも通らない道なので、
2メートルの枝がバンバン落ちてる。なんて道だ!!
ふんぬ、ふんぬ、ふんぬ!!あらゆるパワーをかけて登っていく。もうだめかもしれない…
…意識が飛びそうになった…その時、ようやくゴールが…!!
うおおおおおお!!しゃああああ!!ゴール!!一気に250mも登ってきたぞ!
13分30秒の地獄のヒルクライムが終わった…脚も精神力も完全に終わった( ˘ω˘ )
やっているときはツラくて仕方なかったけど、こうしてゴールしてみるとすがすがしい気持ちになる。自分の脚だけで登り切れたことがなんだか誇らしい。まあ、とにかく無事に登り切れてよかった。やってみてよかったな、楽しかったな。もしこんなところで意識が飛んでたら、誰も助けてくれなかっただろうけど。
超慎重になりながら20%以上の下り坂を下りていく。これで握力も完全に終わった。
無事に長井さんと合流して、いかに大変な道だったのか話す。長井さんは「そりゃあ大変だったろうなぁ」みたいな涼しい顔をしていたので、きっとぼくは遊ばれていたんだろう(悟り)。
この後は一気に山を下り、平地を駆け抜けていった。
こうして山のゆるゆるツーリング(偽)が終わったのでした。
1年ほど山形に住んでいろんな道を覚えたとばかり思っていたけど、実はそんなことはなかった。まだまだいい道がいっぱいあったのだ。信号なんて50kmに1つしかないし、クルマなんてほとんど見かけない。それでいてガッツリ山登りができるんだから最高の自転車環境だと思う(ただし補給箇所が皆無なので、要注意だね!)
長井さんにこうして山遊びの仕方を教えてもらえて、またまた世界がひろがったワタクシでした。いやぁ、楽しかったなあ!また山をどんどん開拓してみよう!今度こそはゆるく走るぞ!(フラグ)
おわり。