「秋の山を登りたい!」
今年の秋は、無性に山に行きたい。乗鞍や栗駒山を登って、あまりの絶景に心が打たれてしまった。あぁ、山を登りたいものだ。
ってわけで、今回は福島県の一切経山(いっさいきょうざん)に行ってきた。
自転車の聖地でもある磐梯吾妻スカイラインから、標高1,500mの浄土平まで道路が繋がっている。
浄土平からスタートして、標高1,949mの一切経山まで簡単にアクセスできてしまう。『魔女の瞳』と呼ばれるカルデラ湖も見れるそうな!
一緒に登るのはカメラ趣味を持つ友人「えんちゃん」。えんちゃんは自転車乗りではないので、スタート地点の浄土平まではクルマでいこう。
クルマは人類の叡智だ。山道をあっという間に登れてしまう。標高1,400mまで登ると…
…え?渋滞?
まさかこんな山道で混雑するとは…。まあ紅葉の時期だし、みんな山に来たいよね。
でも渋滞にハマるのも悪くない。
クルマだとあっという間に通り過ぎてしまう景色を、止まってゆっくり見れる。
助手席のえんちゃんがバシバシ写真を撮ってくれる。
遠近感をぶっ壊してくれる景色、大好き。
火山性ガスの影響で金属が腐食するんだろうか?
あーー!これこれ!
この絶景がまさしく『磐梯吾妻スカイライン』だ!岩肌がカッコいいんだよなあ。
つづら折りを行進するクルマは、まるでベルトコンベアみたいだ。
4kmの渋滞に2時間かかってようやく、駐車場に入れた。みんな駐車場の入り待ちで混雑してたんだねー。
さてスタートが遅くなってしまった。では出発!
山の登り方は、自転車のロングライドと似ている。
焦らずじわじわと距離を稼いでいく。あくまでマイペースに。それでもって景色を楽しむ心を忘れずに。
ふと後ろを振り返ると
あぁぁ…美しい…。
この景色を見た時「なぜ山が信仰の対象になるのか」が少しだけ分かった気がした。人間だけじゃ絶対に造れない巨大物を偉大だと感じてしまう。これが畏怖の念を抱くということだろうか?
2人して一眼レフを首から下げて、歩いているもんだから、よく声を掛けられる。
「おっほ、いいカメラを持ってるねぇ」
「夕陽を撮りに来たの?」
「この先に真っ赤な絨毯があってきれいだよ」
なんて和んだ空気でたち話をする。みんな山が好きで、楽しんで登っているのがよく伝わってくる。
秋の山の魅力が詰まったいい写真だ。えんちゃんの撮影スキルが光る。
おおお!赤い絨毯だ!傾きつつある太陽と相まって、オレンジ色が際立って美しく見える。
景色を眺めていると、すれ違いざまにおじさまが声をかけてくれた。
「お!魔女の瞳にいくんか!あそこはいいぞ!」
とテンション高く、魔女の瞳の良さを語ってくれる。「ちょうど今になって雲がなくなったから、俺が見た時よりさらにきれいになっているよ!」とにっこり言う。
「ありがとうございます!時間あんまりないですけど、行ってみますね!」とお礼を伝えて、足早に歩みを進める。
夕方の山。というのがちょっと心配だ。
日の入りまではまだ時間があるが、山では日が落ちるのが早いので、充分注意しないといけない。復路も考えると、余裕はないがギリギリ行けるだろう。
よし、サクサク登っていこう。
いい景色ってのは何度見てもいいモノだ。
ただ自転車用のSPDシューズだとちょっと登りにくい。
シューズの底が湾曲した形だし、全然曲がらないので足に優しくない。
前日に150kmオーバーのライドをしてきた格好そのままだ。超軽量パッキングと「自転車×ハイキング」の両立を模索中なので、これはこれでイイ実験結果を得られたわけだけど。
標高も2,000m近く。山頂に近づくにつれて風の威力が増してくる。
風が強い分、草木もなく荒廃とした世界が広がる。
あぁ、やっぱり美しいなぁ。
だれが設計したわけでもないのに、美しくあり続ける自然…あまりにすごすぎませんかね。
えんちゃんもハイペースで登ってきて、バシバシ写真を撮っている。あまりの絶景に「うわぁあああ!」と声を出して喜んでいる。
街を見下ろして「作り物みたい」と思うけど、実際に”作り物”なんだから面白い。
風に吹っ飛ばされそうになりながら…
なんとか山頂に到着!
いったいどこまで山が続いているんだ。
と足を進めていると、突然…
ああぁあああ!魔女の瞳だ!!!きれーーー!!!
深い青のカルデラ湖と、赤く照る紅葉の木々。
この対照的な2つが1つに調和している。あぁ素晴らしいな。
一生のうちにこの景色を見れる。それだけで人生って充分なんじゃないか。そう感傷的に思う。
えんちゃんも満足そうな顔で湖を眺めている。よかった、よかった。
登ってきたばかりだが、下ってしまおう。夕陽がキレイなんだけど、さすがに真っ暗になってしまう。
登ってきた以上のペースで下る。
でも下りの景色が美しくって、何度も足を止めてしまったのはここだけの話。
真っ暗になる前になんとか下山完了!
危なかった…!
こうして秋の『一切経山』と『魔女の瞳』を巡るハイキングを楽しんできたのだった。
これからは冬の時期で山とはしばらくお別れだけど、今シーズンは本当に美しい景色ばかり見ることができた。
さあて、次はどんな遊びをしようかな。