【前編】557kmを24時間で走ってきた【8号線キャノボ新潟→京都】

202111R8キャノボ

はぁ…はぁ…はぁ…

泥のように重い身体は、「もうやめろ!休め!」と警告を出している。けど、やめられないっ…!!

「もうこんなアホな挑戦は二度とやらない」何度そう思ったことだろうか。本当に無茶をしている。身体は素直だ。痛みと猛烈な疲労感で警告してくる。

それでももう、ゴールが見えている。背中がブルルと震える。

「あぁ、ついに来れたんだ。本当に長かったな」

にっこり笑って、ゆっくりゴールへ向かう。

ああぁ…よかった…!

ゴールした瞬間にどっと力が向けていく。本当に無茶をした。


そんな無茶ライドの様子を、今回は話していこう!

8号線キャノボってなに?


さて、今回の「8号線キャノボ」とは一体なんなのか…?記事のタイトルに書かれているけど、よく意味は分からないですよね?なんだこれはって。

まず8号線とは、舞台である「国道8号線」のことだ。新潟⇔京都を結ぶ、約600kmの国道。


今回はアレンジして、短縮ルートを加えて557kmにしてみた。この距離を自転車で走ってみようと。

この長距離を「キャノンボール」という縛りで走ってきた。通称「キャノボ」。

キャノンボールとは、
・520-540kmの距離を
・24時間以内に
・人力の乗り物で
・ひとりで走りきる
というチャレンジだ。(ぼくの勝手な定義)

まあなんともぶっ飛んでいるチャレンジだ。普通なら、こんなことは、やりたくない。

やりたくないんだけど、実は過去3回、この「8号線キャノボ」にチャレンジしている。本当に本当に悔しいライドだった。(ことの顛末は、記事にまとめているので、ぜひ読んでみてね~! 1回目2回目3回目

この挑戦を「8号線キャノボ」とぼくは勝手に呼んでいる。

24時間以内に自転車で557kmを走るとは…無茶もいいところである。

なんでやるの?


なんでこんなことをやろうと思ったんだろう?

これが自分でもわからない。

いや、もともとは24時間ではなく36時間で走る「ゆるキャノボ」として走る予定だった。いままで途中リタイヤばかりで、フルで8号線を走ったことがない。過去の失敗をすこしでも解消させたくって、36時間でも『完走』がしたかったんだと思う。


実際にスタートしても、ずっと五分五分で迷っていた。「36時間で走ろうか…24時間で走ろうか。24時間で走りたいけど、過去に3回も失敗してるんだから、うまくいかないだろうなぁ。まぁ精一杯やろうか」なんて思っていた。

それが走り出してからは、いくつもの幸運が舞い込んで「24時間で走ろう!」と決意して、「キャノボ」に狙いを変更することにしたのだった。

さぁ、走ってきた様子を見ていきましょう!

スタート前


金曜の夜。仕事終わりで新幹線に乗って、新潟まで移動してきた。

いつも通り東横インに。いまの時期ちょうど、「35歳以下は35%オフのキャンペーン」をしていて、とても助かった。ありがたい!(公式ページ

22時にチェックインして、25時に就寝。おやすみなさい…。

翌朝8時30分。アラームもなしに目が覚める。なんだか睡眠が浅かった気がするけど、まあいつものことだ。イッツノープロブレム。


無料の朝ご飯を頂く。しっかりお米を食べられるのはうれしい。ロングライドでは、腹持ちがいい気がしている。

チェックアウト時刻である10時ギリギリまで、ベッドの上でだらだら過ごす。本番前のリラックスタイム is 大事。

ホテルを出て自転車を組み立てる。ブレーキヨシ!ホイール回転ヨシ!変速ヨシ!装備の忘れ物もナシ!

うん、乗り手も自転車も、準備は完璧だ。

いざ、スタート地点へ。

ここが8号線の起点である新潟市本町交差点だ。ここから500km以上も道が続き、ゴールの京都へと繋がっている。

出発前の作業をこなす。YouTube用の動画を慌ただしく撮影し、Twitter用に現在位置共有をセットし、急いで出発ツイートをする。

ふーーー。ひとつ深呼吸を入れる。

大丈夫だ。きっと557kmは走り切れる。別に24時間で走らなくたっていいんだ。目一杯、楽しんでいこう。

2021年11月6日 10時30分。ぼくは勢いよく地面を蹴りだした。

0~100km(新潟市→上越市)


走り出しは快調!


5kmも走れば市街地を抜けて、海岸線を突っ走ることができる。美しい青色の日本海を眺めて、アップダウンを楽しみ、のどかな田舎の風景に癒される。

コンビニも自販機もないけど、まったく問題ない。150km走れる分の補給食を持っている。ブラックサンダー、ちくわを交互に食べる。いつも通りのルーティン。

あとはアミノバイタル(スポーツ用ジェル)を啜って、栄養を補充する。プラシーボかもしれないが、筋肉の疲労感がマシになるから、かなり重宝している。

あとはホテルでもらったパン。

朝ご飯のお弁当をもらいにいったとき、「パンも持っていきなよ~」と配膳のおばちゃんが渡してくれたのだ。

これがぼくのなかでは大ヒットだった。バターの香りは大いに気分転換させてくれる。甘い補給食にはない「食事をしている感」を味わえて、食事に良い変化を与えてくれる。

この100km区間では、1時間に300kcalを食べることを意識する。どうせこの後は、胃腸が疲れ切って食べられなくなってしまうんだ。食欲があるうちには、しっかり食べておこう。

しかし、本当に信号がない。どこまで行っても、海岸線だ。

信号で止まれた時には、思わず自撮りをする始末。信号休憩が貴重になるほどだった。

幸いにも追い風が吹き、巡航がグッと楽になる。平地では35km/hを切らないハイペースで駆け抜ける。「500kmもあるんだから、焦らなくてもいい」と思っても、ガンガン平均速度は上がっていく。

100~200km(上越市→黒部市)


100kmを超え、上越市に入ってもペースは上がり続け、平均速度26.5km/hをマークした。


こんなハイペースで走った経験もないのに、身体は全然疲れていない。ちゃんと補給もとれているし、眠気もまったくない。

…これは24時間以内を狙えるのでは?

僕のなかに、ポコンと何かが顔を出した。きた、好奇心ってやつだ。

好奇心「ねぇ、いっちゃう?このまま24時間狙っちゃう?」
ぼく「え…でも。いままで何回も失敗してるし」
好奇心「失敗したかもしれないけど、今回はその対策もちゃんとしてきたんでしょ?」
ぼく「たしかに…」
好奇心「追い風も吹いて、体調も良くって、最高のシチュエーションでしょ?24時間でいこうぜ!」
ぼく「おっしゃ!いくか!!」

好奇心にまんまと乗せられて、24時間以内に557kmを走ることを決意した。いや、してしまった。ここからはたくさん地獄を見ることになるだろう。

しかしこうなれば自分の持てる力をすべて出し切るっきゃない。

体力消費を抑えながら、速度を最大限上げる。

ブンブンブン、とホイールがうなりをあげて突き進む。

6時間経過したときには、162kmに到達していた。平均27.0km/hという、とんでもないペースだ。ここまで休憩ナシで一気に走ってきたとはいえ、あまりにも早すぎる。


自分でも信じられなくって、思わずツイートしてしまう。

身体の調子を考えても、まだまだ走れそうだ。このまま親不知(おやしらず)を攻略してしまおう!

標高100mちょっとの峠なんだけど、実は8号線の難所だ。

狭い、急な登り、めちゃ混みの交通量。というトリプル役満を抱えている道なのだ。

しかしここも何度も走った経験があるので、落ち着いて対処していく。

決して焦らずマイペースで、じっくり距離を刻んでいく。狭い道では、後続車にはしっかりハンドサインを出して、トラブルの芽を摘んでいく。

ふっ、ふっ、ふっ、と息が切れてくる。

ちょうど夕暮れが美しい時間帯だった。自然の景色に元気をもらって粘って登っていく。

結局、交通量が少ないのに助けられて、難なく親不知をクリアする。

一気にダウンヒルした先には、この旅はじめての県境看板に出会った。

富山県さん、こんちゃーす!

ここまでで180kmとは、新潟県が長すぎるぞ。

さてさて、安心したところでお腹がすいてくる。「どっかコンビニないかなぁ」と思っていると、ナイスタイミングでデイリーヤマザキを発見!


ナイスリスポン!


難所を超えても、まだ平均26.4km/hもキープしていて、思わず笑ってしまった。

必要な物資は走りながら考えていたので、迷いなく買い物を済ませる。

欲望てんこ盛りじゃい!

買い物の量は、絶対にミスをしてはいけない。少なすぎるとカロリー不足に陥るし、多すぎると運びきれない。この絶妙なセレクトも、ファストロングライドのコツかもしれない。

店の外にベンチが設置されていることに、心から感謝する。足をゆっくり休められるのがほんとうにありがたい。

親子丼いただきま~す!

うんまい!うんまい!しょっぱい味がするものがこんなにも美味しく感じるとは。暖かいごはんも心に染み入る。「あぁ食事をしているんだな」と遺伝子レベルで感謝の念がわいてくる。

食べながらでも、今やれる作業をこなしていく。補給食のごみをまとめる、物資を最適な場所に収納する、ドリンクをボトルに詰める、スキマ時間にストレッチをする。

もぐもぐしながら慌ただしく身体を動かす。せっかくベンチがあるのに、あまりゆっくり座っていられなかった。


こうして急いだおかげか、たった13分の休憩で「買い物と食事」を済ませることができた!ラッキー!

巡航も速かったけど、休憩もめちゃ早かった。普段からツーリングに行っている経験が、こういう時に活きてくるんだな。


ご飯を食べるとすっかり気分がよくなった。

身体も精神もすっかり気分転換ができてうれしくなる。まだまだ350km以上あるけど、なんだか走り切れそうな予感がする。きっと大丈夫。

今あることだけに集中すれば、きっと大丈夫。

そう心の中で唱えて、再び地面を蹴りだすのだった。

この先は、地獄を旅することになるのだが…。

つづき→後編はコチラ!

おまけ

この挑戦の様子を、YouTubeにもアップしているので見てみてね~!

オススメのギアとか補給食とか。

今回のルート紹介