やっちまった…落車してしまった…。
いまはツーリング中で、紀伊半島を走っているのだけど、落車の経緯や対応を記事に残しておこう。
発生原因や対策、事後の対応などみなさんの参考になれば嬉しいかぎり。自分自身の忘備録にもなるしね。
どんな落車をしたの?
トンネル内で前輪ロックされて身体が飛んだ。
いつもの様に前後ライトをつけて、トンネル内を走っていたら…。
ガッ!!
と地面から衝撃を受けた時には、自転車が浮いていた。
時間がゆっくり流れていく…。
前輪が浮く。ハンドルから右手が離れていく。バランスを取ろうとハンドルを左に切る。しかしその先には側溝が…。
やばい…ハマったら…やばい。
と思う間もなく、前輪がズッポリ側溝にハマり、車体は急停車……!
慣性で投げ飛ばされる身体。急速に近づく路面。無理に身体をネジって右手から受身を取った。
ズザザザザザ…ザザ…!
長い距離、路面を滑った。。。停止したことを確認すると、すぐ腰を上げ、歩道へ倒れ込む。まずは安全な場所へ!ここまでは無意識に動けた。
ふぅ…ふぅ…ふぅ…。
よかった、ラッキーなことに後続車はいなかった。
アドレナリンが出ているおかげで、体の痛みは無い。強い衝撃を受けたことには違いないので、無理はしないようにゆっくり立ち上がる。
カラカラカラ…
後輪が空転している。愛車が側溝に刺さっていた。まずは何をしたらいいんだ…?
落車直後の対応
2秒ほど思考を巡らせる。二次被害を出さないことを先決としよう。道路にちらばった荷物と、路面に突き刺さっている自転車を回収する。全部を歩道に上げて、呼吸を整える。
そして自分の身体をチェックする。右手から落ちたことは覚えている。手、ひじ、肩、首に異常がないか確認する。骨折と出血は無さそうだ。でも油断できない。アドレナリンというバフを借りて動けているだけだ。深刻なケガを負っていたら、そのうち動けなくなるだろう。10分間は動けると判断して、自転車と荷物をチェックする。
ハンドルが曲がってたが、工具ですぐに修理できた。
あとはカーボンフレームに欠損が出ていないか厳しく目視確認する。衝撃に弱い素材なので念入りに。ホイールもフレが出ていないか、タイヤのサイドに切り傷がないか、変速機が動くか、あらゆる駆動系も確認を進めていく。
よし、オールクリアだ。このまま走れそうだ。
ただ最大の物損は、クリートが壊れたこと。ペダルとシューズを固定するためのクリートだが、その固定具が割れている。
金属が割れているので、相当のチカラが加わったんだろう。
でも、壊れてくれて幸運だった。損傷したのは左のクリートだが、コレが外れてくれたお陰で身体が自転車に固定されずに済んだ(右足のクリートは無意識に外せていたらしい)。
もし外れてなかったら、自転車と身体がくっついたままだ。どちらか深刻なダメージを負っていただろう。あぁ、こわいなあ。運が良かった。
あとは状況証拠のために撮影を進める。あとから振り返るためにね。
落車後10〜30分間の対応
自転車と身体が動くことを確認できたら、気持ちを落ち着けよう。軽いパニック状態なのは自覚していたし、今後の動き方をちゃんと考えたい。荷物をまとめゆっくりと自転車を進める。よしよし、何とか大丈夫そうだ。
トンネルをぬけて陽の当たる場所で休憩をとる。補給食を食べ、身体を動かし、体温を下げないようにする(トンネル内は風が吹いてて寒かった)。
落車状況をTwitterで報告する。発生状況を書き込んでいると、自分の状態を客観的に見れてかなり落ち着けた。精神的にぐっと楽になる。
やることは3つだ。
・再度ケガの確認
・ツーリングプランの変更
・物資の調達
もし骨折をしていたら、発生から30分以内に激しい痛みがやってくるはずだ。アドレナリンが切れるまでもう少しゆっくり様子を見よう。まだ痛みはない。ただ右ひじから血がドクドク出ていた。肉がぱっくり割れている。ナイフで切られたような綺麗な切り口だ。消毒液やガーゼがないので、水で洗い流して風に当てて乾燥させる(ボトルの中身が水で助かった)。
次にツーリングプランの変更だ。
いまは15時過ぎだ。宿は100km先にある。うん、こりゃ無理だ。手負いの身で走るにはリスクが高い。とりあえず宿にキャンセルの電話をする。落車したことを伝えるとキャンセル料はいらないとのこと。ありがたい。
次の宿を探すのが大変だ。今日は1月1日だ。元旦の宿はどこもいっぱいだろう。宿が必要なこと、今いるところをツイートすると、友人のさとるくんがすぐに宿を調べてくれた。すぐ近くに一部屋だけ空いているとのこと。本当に助かった。ありがとう!!
あとは必要な物資を買いに行こう。
病院に行くほどの深刻なケガではないと判断した。絆創膏と暖かい飲み物、今日のご飯を調達しよう。ゆっくりと自転車を進め5km先のコンビニへ。元旦で空いている唯一の店で九死に一生を得た。無事に買えた。
落車の原因
『落車の原因はいったい何だったのか?』
コンビニで買い物を済ませたぼくは、再び落車現場へ戻った。安全走行には自信があった。だが落車してしまった。きっと何か自分に落ち度があったはずだ。
注意深く路面を観察すると…。
あぁあ!これだ!!
ソフトボールほどの大きさの石が落ちている。これに乗り上げて車体が浮き、バイクコントロールが出来なくなったのか!路面のコンクリートと色が似ていて発見できていなかった。よそ見はしてなかったけど、目線移動のときに視界から外れていたのかもしれない。完全に意識の外にあったので、とっさの対応も遅れたんだろう。
心理的な要因としては、トンネル内走行も絡んでくる。後続車を恐れるあまり、道路の端ギリギリを走行していた。安全マージンを取れておらず、そのまま側溝にハマってしまった。やや寝不足もあり、路面観察力が疎かになっていたことも心理的要因になりうるかも。
(この石は誰も通らない端っこに移動させた。再発防止!)
その後
ボロボロな身体で宿に到着。まっさきにお風呂に入り、傷口を洗い流し、患部にキズパワーパッドを貼っておいた。やはり骨折はしていなさそうだった。ほかには軽い打撲やむち打ち、関節のひねりなどがあったがどれも軽傷レベル。
ゆっくりご飯を食べ、仮眠を取りいまに至る。身体の節々は少し痛いが、十分に動けるのでツーリングは続行しようかと思う。明日起きてみて無理そうならすっぱり諦めよう。
まとめ
ぼくは運が良かった。
最大の幸運は、スピードが出ていなかったこと。上り坂&向かい風で18km/hくらいしか出てなかった。落車が下り坂で起きていたと思うとゾッとする。再起不能な怪我を負っていたかもしれない。
冬装備だったのもよかった。全身が服で覆われていたので、擦過傷はゼロだった。ギリギリだが助かった。
もしこれを読んでいる読者さんが自転車乗りなら、ほんとにお気を付けてくださいね!
走行中はすべての路面を見れている訳ではない。路面が異常な状態になっているかもしれない。バイクがコントロールできず側溝にハマるリスクなどなど。外的要因は突然変化くる。とくにトンネルなど目視がしにくい所は要注意です。
そして落車後の対応は冷静に。
二次被害を出さないこと、外部に連絡をとって助けを求めること、状況を観察することが大事。事後は誰でもパニックになりやすいと知っておけば、落ち着いて行動を取れるはず。
楽しむためのツーリングなんだから、無理とケガは良くない。行程を中止したり変更したりして、リスクを下げておこう。焦って2度目の落車をするのなんて目も当てられない。
身体が無事だったら、またツーリングにはいけるんだから!
というわけで、落車の報告でした。安全運転だけには全力を注いできた僕でさえ落車する。誰だって起きることなので、みなさんにもこの話を糧にして貰えば有難いことこの上ない。
それでは楽しいツーリングライフを!
(Twitterではたくさんの方からご心配の声を頂きました。みなさんのコメントを読んで冷静に動けました。ほんとうにありがとうございました!!!)