ちょっと雪の林道でキャンプツーリングしてきた

S.K.さん

「雪道、走ってみませんか?」

LINEをくれたのは、S.K.さん(Twitter ID: @r0adbike_sk)だ。

Twitterのフォロワーさんだ。イケメンのハイスぺ自転車乗りである反面、狂ってるとしか思えないライドばかりやっている。冬の北海道を自転車で1000㎞走破してたり、536kmを21時間37分で走り切るし。完全にイっちゃっている(失礼)

そんなS.K.さんからのお誘い…これは楽しそうだと直感で分かる。いや、過酷なんだろうけど。でも、絶対楽しいライドだ!

直感に従い、提案に乗っかる。

ぼく「いきましょ!」
S.K.さん「ライドの後は、ご飯食べたり泊まったりして、ワイワイやりたいんですよねぇ、けどコロナが…」
ぼく「雪キャンなら感染リスクないんですよね」(冗談)
S.K.さん「おっしゃる通り!……やりますか?」
ぼく「え?」
S.K.さん「装備あります?どこでキャンプします?…てか電話しちゃってもいいですか?」
ぼく「???」

「いまの気温はマイナス5℃だから」「雪キャンプってそんなに大変じゃないですよ」なんて電話口で話すS.K.に「はい、はい」と答えているうちに、雪キャンプが決定してしまった。…なんてこった…!

「大丈夫ですよ、大丈夫ですよ」なんて自信たっぷりで言うもんだから、つい押されちゃった。S.K.さんの熱量には、引き込まれる魔力がある。

当日

電車で隣県の宮城県へ!駅でS.K.さんと合流し、そのままお宅へお邪魔する。

S.K.さんからバッグを借りる。今回はキャンプツーリングだからね、荷物も多くなる。

「バッグはパズルのようで面白いんですよね」と目を輝かせて話すS.K.さん。機材やガジェットがほんとに好きなようで、部屋にはありとあらゆる装備が揃っている。なにこの部屋…欲しい…。

気づけば、5つもバッグを借りることになった。ざっとこんな感じ。

フロントバッグ:寝袋
フレーム横バッグ(右):寝る時のマット
フレーム横バッグ(左):調理セット
トップチューブバッグ:一本満足バー、SOYJOY、メントス
フレームバッグ:充電器、自転車カギ、おにぎり

僕が持参したサドルバッグには、テント、ポール、水、輪行袋、着替えが入っている。

荷物をたっぷり積んだバイクで旅することを、『バイクパッキング』と呼ぶそうな。この装備ゴリゴリのバイク…カッコイイ!新しい遊びに目覚めそうだ。

バイク紹介

走りだす前にちょっとバイク紹介を。

S.K.さんバイク

BOMBTRACK Audax(ボムトラック オダックス)

ドイツブランド自転車メーカーBOMBTRACK。その日本アンバサダーに就任されたS.K.さん。このAudaxモデルのバイクも提供されてるもんなんだとか。すごい…!

個人的にはこのBombTrackのデザインが好きすぎて、本気で買おうとしていた。日本国内の取扱店がなく、ドイツの自転車屋さんへメールを出して問い合わせたりしたけど、結局納期の問題で購入に至れなかった…。くぅ…せめて現物を拝みたかったぜ…、と思っていたら、S.K.さんのアンバサダー就任。


こうして現実を拝めるだなんて…ありがたや。やっぱりカッコよすぎる…これが機能性と美を兼ね備えている。

りっけい(私)バイク

FUJI JARI1.3 2021

すっかり愛車となったJARI(ジャリ)。このブログでは初登場かな。BombTrackを諦めて購入したバイクだが、未舗装路をバシバシ走れるタフネスバイクだった。毎日の雪道通勤を支えてくれている。この子がいないと冬の東北を乗り切れない。気持ちよく走れるバイクなので、また感想記事を書きたいところ。

いざ、出発!


さあいこう!S.K.さんを先頭にゴリゴリとバイクを進める。ゴリゴリ…。

アスファルト舗装の上を、スパイクタイヤで走る。タイヤから「チャ チャ チャ チャ」と音を立てて、2人して笑う。重戦車を走らせているようで面白い。どんな路面だって走っていける。

乾いた路面を走れるのが嬉しい。ぼくの住む山形では雪が多くてツーリングどころじゃない。


ちょっと田舎道に入れば、このレベルである。進まなすぎて笑うしかない。雪の魔境…それが山形だ。

山にさしかかり、積雪が増えてきた。S.K.さんもぼくも一眼レフを持っているので、自然と撮影会が始まる。


S.K.さんがカッコよすぎる問題。

普段はソロライドが多いので、伴走者をモデルに撮影できることが楽しくて仕方ない。いい写真がバシバシ撮れた。


う~む、いいぞ、いいぞ。

雪景色にポツンと自転車に乗る。こんな絵を撮ってみたかったんだ!大満足でほくほく。

S.K.さんの提案でツーショットも撮ってみたが、これもまたいい写真が撮れる…!
終始にっこにこ。ほんとに楽しい。

これから雪の上を走っていける。それだけでテンションが上がってしまう。ロードバイクじゃ走れない道、いままで行けなかった道。でもこのバイクなら走っていける、見たことない景色を見に行ける。どう考えたってテンションが上がる!!

さて、今日のお目当ては…雪グラベルだ!!

Q:雪グラベルとは?
A:雪が降ったグラベル(砂利道)を走ること!

積雪量、除雪具合、路面状態…うまく条件がかみ合った時にのみ走れる道があるらしい!!非力な自転車では、深い雪道は走れないからね。きれいに除雪されつつも、雪が積もっている道を走りたい!(ワガママ)

S.K.さんの案内でさらに山深くへ進むと、雪が増えてきた。


おおおぉぉ!!これこれ!!この雪道よ!!


きっもちいいぃいいい!


ダンジョンの入口のような雰囲気。

雪と林道の『良さ』が重なり合って、異世界の風景を見ているようだ。うむうむ、いいぞ、雪グラベル!


このさきは砂利道らしいが、イイ感じに圧雪されてた道でむしろ走りやすい。

ここからスパイクタイヤが活躍してくれる。

凍った路面にかっちり食いつき、ダンシングできるほどにグリップが効いている。ブレーキングもカービングも、舗装路と変わらない。クルマが通ったおかげでフラットに圧雪されてる効果も大きいんだろうけど。


動画も撮ってみた。疾走感がハチャメチャに気持ちいい。

道のアップダウンが激しくなる。パッキングしたバイクがずっしりと重い。

ぼく「ふぅ~、きっつぃい!!」
S.K.さん「大丈夫ですか?」
ぼく「ダンシング(立ち漕ぎ)が全然進みませんね」
S.K.さん「あ~、コツがあるんですよ。バイクを左右に振らすんじゃなくて、自分が振れたほうがラクですよ」
ぼく「え?自分が振れるんですか」
S.K.さん「そうですね、バイクが傾く方に、カウンターを入れるように踏み込むんです。こうやって…」

ギュンギュン…。あっという間に加速していくS.K.さん。登坂力、加速力が半端じゃない。雪道、パッキングバイクをも物ともしない走り…つ、強い。


バイクの種類、走るシチュエーションによって、走り方を変える。すっかりロードバイクに慣れてしまったぼくにとっては結構難しかった。ぼくの走りを見てS.K.さんは色々とアドバイスをくれる。

「登りでは、後ろ荷重でトルクを掛ける」「サドルの後ろに座って、脚を突っ張るようにするとトルクがかかりやすい」「後輪の空気圧を下げておくとトルクがかかりやすい」などなど。


雪の特性、道の特徴、それに対応した乗り方…めっちゃ勉強になることばかり。さすがは冬の北海道をキャンプしながら1,000km走ったお方だ。走る知恵袋と化している。

たしかに雪の状態によって、走りやすさが全然違う。新雪、どか雪、アイスバーン、泥と雪のMixなど。雪ライドはかなり奥が深い。

ときには19%の坂を越える。

ひぃひぃ言っているぼくの隣で、余裕そうな笑みを浮かべるS.K.さん。
「人が苦しんでるのを見て楽しむ派ですね」と茶化していると、「自転車乗りはSなのか?Mなのか?」の議論が始まった。

『ロードバイクで何百kmも走るなんてドMじゃないの?』と友人たちに言われるたびに、『ドMなのは事実だけど、ドSな自分もいる。ドSな自分がドMな自分をイジメてるけど、それは共存するハイブリット型なんだ』と説得しても全然伝わらない。

でも、S.K.さんもぼくに完全同意らしく、「自分の中にSとMが共存している」とのこと。やはり自転車乗りはSMハイブリッドエンジン搭載らしい。


こうやって至極どうでもいい話ができるから、誰かと一緒に走るのは楽しかったりする。

この後も林道独特のアップダウンに苦しみながら、お互いに撮影会をして楽しむ。

そろそろ夕方だ。この後の予定を相談する。

ここまで40km、獲得標高800m。体感的にはロードバイクで120kmほど走った疲労感がある。

S.K.さん「この後、どうします?」

キャンプ予定地まで30kmある。慣れないパッキングスタイルで疲れているぼく。ちょっと考えを巡らせる。うん~、どうしよう。

「いや、今日はゆったり楽しむライドだ」そう思う。

S.K.さんに「ここらでキャンプしません?」と提案してOKしてもらう。「いやぁ今日は全く足が疲れませんね」なんて笑っているけど、ぼくの脚はもうボロボロだ。脚力差と経験値の違いが大き過ぎる。S.K.さんは異常な自転車乗りだと確信した。

街に降りたぼくらはコンビニで食料調達して、キャンプ地へ向かうのだった。

おわり。

このライドのS.K.さんの記事はここから読めるよ!

S.K.さんのブログはめっちゃ面白いので要チェックですよ!
Twitter:@r0adbike_sk
ブログ:ぼっちと孤高の分かれ道