【後編】国道8号線キャノボ京都→新潟【キャノンボール】

201906R8キャノボ

ふぁああああ!!

この記事は、国道8号線をキャノンボールするという”無茶ライド”の記事ですよ!


この543kmを24時間以内に走りきろうというね…。
自分でも分かってます、あまりにも無謀すぎる:( ;´꒳`;):

さあ、りっけいは走りきれるのか!?

この“R8キャノボ編”をまとめてるよ!
①準備編
②前編
③後編←イマココ

200~250km(石川県小松市→石川県金沢市)

ヤバいヤバいヤバい…ぼくはめちゃくちゃ焦っていた…。

ペースが遅すぎる…!福井市街の信号に引っかかりまくり、予定より30分も遅れていた。1分単位で動くキャノボにとって、30分は大きな痛手だ。こいつは、やっばい!

ここで決断する…これは…高速巡航するしかない…!!一か八かの賭けだ。まだここは200km地点。残り340km以上あるが、体力を投資することを決めた。(このときは何としてもオンスケジュールにしたかった)


石川県に入った途端に走りやすい道に変わった。加賀市→小松市→白山市までバイパスが通っているのだ。自転車通行可のバイパス!

走ってみるとなんという好機!
信号は少ないわ、追い風は吹くわ、トラックからの風アシストはあるわ、路面は綺麗だわ、快速りっけい号となり突き進む。バイパス独特のアップダウンなんて、なんのその。30-35km/hの超特急モード!気持ちいぃいい!いやっぅううう!

天気もいい。薄曇りで暑くも寒くもない。いいぞいいぞ、とニヤニヤしていた頃…
『頑張ってぇーーー!!』
と叫ぶ声が!!

え!なにごと!
と振り返ると、車から女の子が応援してくれてる!!!うおおおお!!
ガッツポーズで返事する。

ツイート↓

どうやら、フォロワーさんが応援してくれていたようだ!!めちゃくちゃありがとうございます!!めちゃくちゃ元気出ましたよ!

おもしろいことが起きるもんだ。Twitterでキャノボ実況をしていていると、リアルでも応援を貰えてしまう。最高だ!


コンビニで補給食と飲み物を買い込む。

このバイパス30km区間を1時間で走れた。うん、かなりいい調子だぞ。グロスタイム(休憩や信号込み)で30km/hとは想定外だったが、うれしい誤算だと思っておこう!結局ぎりぎりだが達成ペースに戻せた!

もうすこし、もうすこしだけ時間を稼いでおけばきっと大丈夫だ!なんとかなる!

200~250kmの振り返り
良かった点
・高速巡行が実現できて、大幅な時間短縮!
・応援をもらえた。
反省点
・バイパスの合流地点でかなり神経を使う。
・実はこの高速巡行が敗因になるとは…。
・オーバーペース、ダメ絶対!

250~300km(石川県金沢市→富山市)


夕方の金沢だ。

観光帰りの車が道路にあふれている。
けど、福井の信号地獄に比べたらマシだ。スケジュールより5分遅れになってしまったが、きっと大丈夫。。。

太陽も傾いてきた。薄暗い時間帯が一番事故が多いのだ!ライト2灯、リアライト2灯を点灯させてしっかりドライバーにアピールするよ。反射タスキを装着するのも忘れない。(トンネル通行もあったので、ずっとつけていた)

えっちらおっちら…標高が100mもない山を越えると…

富山県に入ったぁあああ!これで5県目だ!!遠かった!!

がぁあああ!とダウンヒルする。ライトが無いと路面が見えなくなってきた。もう夜がやってくる。ここからはディオの時間だ。ゴゴゴゴ…。ナイトライドが好きな僕としては、嬉しい時間帯だ。澄んだ空気、落ち着いた風、しんとした静寂…ナイトライドは走りに集中できるのがイイ。

お腹すいたなと思っていると、ドンピシャのタイミングで…


吉野家だ!

豪勢な食事!

ここでも12分以内に出る計画だ。ファストライドはファストエイドだ!!(意味不明)
ガツガツと口に運ぶ…運ぶが…飲み込めねぇ…胃腸が拒否してきやがる。体調がおかしい。たしかに疲れているのだが、胃腸が不調だとは不安だ。無理に急がず、ゆっくり食べ進める。まずは自分の身体が一番だ。

あとから調べたことだが、人間は1日に5,000kcalまでしか摂取できないようだ。キャノボは7,200kcal以上必要になるから、まったく摂取が足りなくなるというね。このときが正に摂取できない状態に陥っていた。

12分の休憩時間のところ23分もかかってしまった。自転車にまたがると筋肉もつっぱり、身体もだるい。「きっと走りだせば大丈夫だ!なんとかなる!」と疲れた身体に鞭打って走りだした。身体からエラーメッセージが出ていたことを無視していた。。。

この時点で残り268km/11時間。グロス(休憩や信号込み)で24.4km/hで走り切る必要がある。時間が全く足りていない。焦りからか、ぼくは愚策を弄してしてしまうことに…。

250~300kmの振り返り
良かった点
・結果的にきちんと休憩をとれた。
反省点
・身体から出ている異常サインを無視していた。
・残り時間と距離に焦っていた。これが一番よくなかった。

300~350km(富山市→富山県朝日町)


ついに300kmオーバーだ。

前回の国道7号線キャノボでは、300kmを越えてから一気にツラくなった。精神がやられて生死の境界線で反復横跳びをしていた。
しかし今回はツラいとは感じていなかった。いや、ツラいと感じている余裕が無かった。時間が全然足りていない状況に焦りまくっていた。

「うぉぉおお!!なんとしてもマージン(余裕)時間をつくらなくては!」
「グロス30km/hで2時間走れば、30分の余裕が生まれるはずだ!」
「それまでの2時間は休憩なし、補給なし、トイレなし、全力で踏み続けるだけだ!」
「300km走ってきたとか関係ないね!いまを全力で駆け抜けるのみ!」

自分を追い詰めていた。なんとか30分をつくろうと思っていた。そうすればラスト100kmで安心して走れるし、休憩もとれるはずだ。いまだけ!いまだけを頑張れば後できっとラクになれる。

…だが…
そうはうまくいかなかった…。2時間走って50km進んだのみだった。いやグロス25km/hは決して遅くはない。だが、全体力を投入してこの結果はお粗末だ。

メインの国道8号線を外れ、県道2号線を走っていた。交通量が無く、車からの追い風はもらえないし、路面もそう綺麗ではない。信号にもちょくちょく引っかかる。そもそも300km走って力があまり残っていなかった。。。マージン時間をつくりだせていなかった。

300~350kmの振り返り
良かった点
・最低限の達成ペース25km/hは維持できていた。
反省点
・この時点で体力をほとんど使い切っていた。

350km~?(富山県朝日町→?)


ふぅふぅふぅ…

すっかり夜になっていた。気温は16度ほどだろうか。けっして暑くはない。だが、やたらと喉が渇く。全力で踏み続けているからだろうか。水分が全然足りていない。この区間では自販機に何回も立ち寄ることになった。3時間で3Lも買っていた。深夜にここまで補水が必要になるほど、むちゃくっちゃ強度が高かったようだ。

何キロ地点だろうか、新潟県に入っていた。県境看板の写真を撮る時間すらもったいなく、ただ走っていた。親不知というアップダウンが激しい危険な区域も駆け抜けていく。「狭い道路でカーブが多く、トラックもばんばん通るから気をつけて!」と事前に聞いていたが、ど深夜だったので誰もいなかった。景色は抜群にキレイなんだろうなぁと感じるほどの断崖絶壁を通っていく。

あと少し、あと少し…もう少し頑張ればマージンができるはずだ!!そう信じて、ペダルを懸命に踏む。だが、どうしてもスピードは上がらない。親不知のアップダウンもあって結局グロスは25km/h。100km走るのに4時間ほどかかってしまった。。。

あぁ…もうだめだ…あと150kmある。それを残り6時間。いまの全力ペースで6時間か…。
ふっと意識が遠くなる感覚がした。

『キャノボ達成はぎりぎり間に合わない…』
プチンッ!

切れた。糸が切れてしまった。もう…がんばれない…。激しい緊張感にさらされていたからだろうか、急に意識が吹っ飛びそうになる。頭がふらふらする。目の前の景色がヘンだ。

ここまでか…あぁぁあああ!!くやしい…!!!
頭が正常に働かない!!!
ちくしょう!!!ここまでなのか!!

失意の中、ぼくはある判断を下した。

8号線キャノボを、断念しよう……
希望のない判断だ。絶望の中、決めた。

Twitterで報告する。


すごくすごく悔しかった。
(このツイートも計算が間違っていた。経過時間19:27→18:27。シンプルな計算をミスるぐらい頭が回っていなかったっぽい)

ここで断念してしまうと、398kmの走りを自分で否定してしまうような気がした。あの頑張りは何だったのか、実らない努力だったと決めてしまうことになる。悩みぬいたが、どうしても安全には替えられない。事故でけがを負うよりはいいだろう。安全に帰ることが第一目標んなんだ。そこを間違っちゃいけない。


こうして、ぼくの挑戦は終わった。

350~398kmの振り返り
良かった点
・やめる判断をきちんとできていた。
・安全第一。
反省点
・ない。よく頑張った。

その後

深夜2時、新潟県の海。ぼくは絶望していた…。

R8キャノボに失敗した。周到な準備をしてもダメだった。完全な実力不足だった。もう嫌だ。もう自転車なんて乗らない…。と落ち込んでいた。

おまけに場所が悪かった。街なんてない。電車も動いてない深夜だ。コンビニなんてあるわけない。これ以上、自転車に乗るのはかなり危ない。頭のふらつきが普通じゃない。もう身体も動かないだろう。移動は不可能だ。

助けを呼ぶのも面倒だ。

もういいや、ここで寝てしまおう。ここは海水浴場の入り口らしい。残り少ない体力で、輪行袋を引っ張り出して広げる。なんとか身体を入れ込み、眠る。風よけになりだけでも十分だ。あぁ疲れたなあ。。。

しばし、まどろむ。どれほど寝ていただろうか。

ぶうぅぅん。トラックの走行音にびびって起きてしまった。寒い。。。なにか、なにかくるまれるものはないだろうか。ふと目に着いたのが、捨てられていた土のう袋だ。これはいい。

ちょっと拝借してくるまる。あったけぇ・・・。不審者通報されませんように…。意識を失うように睡眠に落ちていった。

空があかるい…朝5時だった。

この土のう袋のおかげでぐっすり眠れた。

疲れてはいるが、頭のふらつきは解消された。良かった良かった。土のう袋をきれいにたたみ、元の場所に戻しておいた。これがなかったら寒さで体調を崩していたのかもしれない。置いていってくれた人、ありがとうございました!

新潟の朝はめちゃくちゃ綺麗な景色を見せてくれた。

悔しさに溢れていたのに、『自転車ってやっぱり辞められないなあ…』って思わせてくる強烈な美しさだった。自分の脚でここまで到達できたからか、より一層きれいに見えたんだ。

充分じゃないか、ひとりでよく398kmも走ったよ、と誰かに褒められた気がした。

このあとは25kmほど漕いで、直江津駅まで。

自宅がある山形まで7時間乗り継いで帰りましたとさ。

まとめ

非常につらかった。でも、それ以上に楽しかった。いま、そう思えるいいライドだった。

挑戦したことに少しも後悔なんてしていない。挑戦することに価値がある。

結果は素直に受け入れよう。学びはメチャクチャ多かった。自分をコントロールできないと、24時間なんて走り続けられない。ちゃんと脚力を鍛えておかないと、長距離は耐えられない。自分に合った補給をおこない続けないと、胃腸の調子がおかしくなる。

実経験値としては大きすぎるほどのいい経験だ。ロードバイク歴2年目でここまで走れたのだ。充分すぎる。なにより無事に帰ってこられたことを一番に喜ぼうと思う。無事が一番大事!!

走行データをまとめてみたので、ちょっと見てもらえると嬉しい。

かるく解説を。
7,8時間経過:福井の市街地での信号失速
11時間経過:金沢市内での信号失速
13時間経過:牛丼屋で食が進まず、休憩が伸びた

走り方にムラがあるというね。

道路状況に合わせて走るしかないのだが、後半まで力を残しておくことができなかったのが一番の敗因だと思う。先々の道を見越して、体力をセーブをする走り方を身につけなきゃなあ。(性格的にどうしても焦りが出てくる。この貴重なデータを基に綿密なペース配分を考えれれば成功率は上がるかもしれない)

今回のキャノボで打ちのめされた。今後もキャノボに挑戦するかはまだ分からない。もうそこは気分次第。ロングライドの辛さをたっぷり浴びたので、二度とやらない可能性も…なくはない。

最後に!!今回のR8キャノボをたくさん応援してもらいありがとうございました!!Twitterでは大いに盛り上げてもらって、すっごくうれしかったです。”りっけい”という神輿をみんなで担いで、お祭りをやっているようでした。楽しかったです!!

りっけいのTwitterアカウント

あーーー!!キャノボって難しいなあ!!!

この“R8キャノボ編”をまとめてるよ!
①準備編
②前編
③後編←イマココ

後半のルート↓

ルートデータが欲しい人が連絡くださいね!データ送りますわ!

お世話になった機材↓

おわり。