「ふうああああ!!!!くぅううう!!ふぅ、ふぅ…キツ…イ…イイイイッ!」
誰もいない山の中で叫びまくっていた。
「七葛はイカれたチャレンジだっ!!!」
…
この記事は七葛の本番編です〜。
どれほどヤバイヒルクライムなのかは、前記事を読んでみてください〜(o´∀︎`o)↓
【獲得標高5000m】クレイジーヒルクライム【七葛の準備編】
まあコースを数字で表すと「距離128km、獲得標高4881m」となるクレイジー鬼畜クライムなんですよ。やっべぇや!
前日。
ぼくは補給食を買い込んでいた。
七葛ルート上にはコンビニなんて無い。お店は、山頂近くの売店、蕎原のパン屋さん、粉河の堂田商店の3ヶ所だけなのだ。
考えうる限り、栄養バランスがいい補給食を買っていた。
総カロリー2422kcal、総タンパク質58.2g。
1日の推奨カロリーは2600kcal、タンパク質は60gなので、補給食でほとんど1日分の栄養が取れてしまう。
だが、これらはあくまでも「補給」なのだ。
メインはパン屋さんや山頂近くのレストランで取るつもりだ。
今回から導入のバッグ。
サドルバッグやフレームバッグは少なからず重量がある。少しでも重量軽減するために、この小型のバッグをつけてみた(/*´∀︎`)o
とは言っても、これは100円ショップで買ったペットボトルホルダーだ。アイデア次第で自転車用品に変わるので、機材を考えるのは楽しかったりする(´∀`)この小型バッグに補給食を詰めておいた。背中のバックポケットも補給食でパンパンだ。
自転車はいつも通り。
MERIDA RIDE400
ギア11-32T
クランク50-34T
Dura-Ace 9100 c24ホイール
R-Airチューブ
SpeedPlayペダル
完全にヒルクライム仕様、ハハハ(/*´∀︎`)o
ただ、空荷で9.6kgと若干重い( •∀︎•` )
フルカーボンフレームほしいな…。
さてさて、当日。2018年3月10日。
今回の七葛ヒルクライムは1人じゃない!
フォロワーさんのTAKUさん(@1989pinarello)と一緒じゃーい‹‹ヽ(´ω` ๑)/››
もうね、TAKUさんめちゃパワーあるの。
神戸から60km自走してきたらしい。朝3時に家を出て、今から七葛よ?超人かな…?笑
スタート地点の塔原に行くまでの緩斜面で千切られましたよ。5%の坂を30km/hぐらいで走れる人なの。すごいよ。
ここが七葛の1本目。塔原だ。
距離6.9km、標高差595m、平均斜度8.6%
8時3分にスタート!!激坂区間があるわけでも無く、7-10%を淡々とこなせば問題はないはず。
TAKUさんの逞しい走りっぷり。
デカイ石、落ち葉、鉄網、砂地などかなりトリッキーな路面になっているが、ひとつひとつ丁寧に走ってクリアーする。
テンションが上がってついつい踏み込んでしまう。息が上がり汗ばんでくる。登りながらもTAKUさんと自転車トークをして楽しみつつ登れた。やはり誰かと走るとメンタルが楽になるなー、と思っていた。
あっという間に山頂へ!
以前に塔原を登った時よりも、かなり簡単に登れてしまった気がする。
「こんなんなら、七葛なんて楽勝じゃない?」
って確信していた。まあ後々、見事にフラグ回収するんだけどね…(´Д`||)
山頂へ来た「記帳表」へ書き込み!
タイムは42分4秒だった。
これが一葛目が終わった。楽しんでいる自分がいることにちょっと嬉しい(/*´∀︎`)o
定番スポットでパシャリ。
次は中尾ルートへ。スタート地点までダウンヒル!
これが寒い!キツイ!気温0℃の激坂ゴリゴリ区間を降っていく。ちょっとブレーキを離せば、一瞬で40km/hが出る。危ない危ない(;´д`ノ)ノ
TAKUさんと「寒いよ!手が痛いよ!キッツイよ!」と騒ぎながらスタート地点へ。
ここが中尾ルートの始点。
距離8.9km、高低差725m、平均斜度8.2%
この中尾ルートはSランク認定されている。七葛の中で2番目に難しいのだ。何が難しいのか…?
そう、激坂だ。
はじめのうちは10%でゆるゆる登れる。
シッティングとダンシングを織り交ぜれば、無理に力を入れずとも越えていける。
しかし路面がコンクリートに変わると…18%の激坂だ(゚∀゚︎)・∵︎.キッツイ!キッツイ!!
全体重をペダルに込める。すかさずバランスを取り、反対のペダルに全体重を掛ける。フルパワーをかけながら、全身を使ってバランスを保つ。これが難しいのなんの。
1人で悶絶していると、TAKUさんの様子がおかしい。どうやらチェーン落ちしたようだ。こんなタイミングで不運な出来事だが、仕方ない。僕の方が鈍足なので先に行かせてもらうことに。
ひぃ、ひぃひぃ、と呼吸が乱れてくる。酸素が行き届いてない感じがする。数えきれないほどの九十九折を越えると…
と、凍結〜!
路肩の草には霜が降りている。凍結落車で骨折して以来、凍結ビクビクマンのわたくし。亀のようにそろそろと通っていく。3月でも凍結はまだあるので要注意だ。
長い長い登りをこなしてようやく登頂!
中尾攻略!
タイムは 53分38秒。
TAKUさんを待っている間にリアディレイラーの調整をする。どうやらワイヤー伸びでローに入っていなかった。32Tが使えず28Tで登っていたようだ。パワーのない僕にはこれは辛かった(;´∀︎`;)<。
調整して無事に32Tにギアが入った。よかったよかった!
TAKUさんも登ってこられた。どうもリアディレイラーの調整がうまくいかずにローに入れるとチェーン落ちするようだ/(^o^)\ナンテコッタイ TAKUさんはロー封じを食らってしまい、最大25Tで登ることに…(´Д`||) これは大変だ!
2葛終えると、カロリー欲しくなる!
ってことで、3本目の蕎原への途中にあるパン屋さんへゴー。もちろん寒さで震えまくってダウンヒル。フルブレーキで下る。アルミリムで本当に良かった…!
そぶら山荘 愛(まな)のパン。
ここで頂くのが
カレーパン、ベーコンパン、チーズパン!
もちっふわっ…。お、おいしい〜〜ヾ(*>∀︎<)ノ゙
ヒルクライムとダウンヒルで疲れた身体に、優しいお味のパンが最高だ。美味美味!TAKUさんにも喜んでもらえたようで何より。
さてさて、やって来ましたよ。
七葛の最大難易度「蕎原」
もうね、異常なんですよ、ここ。想像している100倍はきつい坂なんですよ…
距離8.3km、高低差623m、平均斜度7.5%…
最大斜度はなんと25%っ!!
重力が強すぎて、「布団でも引きずっているんじゃないの?」ってぐらいペダルが重たい。
蛇行走法で楽にしたいのだが、まったく楽じゃない!一度足をついたら再始動できるところじゃないので、1mmでも前へ進む心意気を持つ。脚は絶対につかない!
もう森。人間が立ち入るところじゃない感。
ギアはもちろんインナーローだが、心はインナーローにしない!!絶対にだ!
けど、斜度がきついほど良いこともある。距離が短いのだ。さっと抜けられて安心した。想像よりも1.5倍ぐらい短くてよかった( ˙▿︎˙ )/
TAKUさんはまたチェーン落ちしたらしく、ぼくは一足先に山頂へ。なんとか最難関をパスできてよかったヾ(*’▽︎’*)/
クリートがおかしくなっていたので調整。
踏み足と引き足がめちゃくちゃで、クリートに負担をかけていたんだろうな。ペダリングフォームなんて気にかける余裕なんてなかったんだ…。
蕎原クリアー。
タイムは43分25秒。
TAKUさんは23Tギアで登って来たそうな…(((( ゚Д゚)))) RD不調とは言えドMすぎる(褒め言葉)32Tで登った僕と比べると、ひと踏みで1.5倍のパワーを出していることになる。あな恐ろしや…(;´д`ノ)ノ
さて4本目は牛滝コース。
握力が死にながらのダウンヒルで、スタート地点へ。
ここはBランク。
距離8.3km、高低差623m、平均斜度7.5%
「こんなところ余裕でしょ、中尾と蕎原を越えてきた僕たちですよ、あははははは!」
と2人で余裕ぶちかましていた。
長すぎる。
いつまで経っても登りが終わらない…(´Д`||)脚にも疲労が溜まり始め、肩や首までも痛くなっている。登っても登っても終わらないような感覚に陥りメンタルもやられる。
2人の間に会話がなくなり、目の前の坂を越えるためのマシーンになったようだ。牛滝さん舐めててすいません(;´∀︎`;)<。
体力ギリギリで山頂ゴール。
脚も体力も大いに削られてしまった。
タイムは43分30秒。
ここは意外にも大変だった。
だが、七葛の良いところは、一度登ればそこがチェックポイントになることだ。山頂に行けば7つのうちの一つが確実に終わったことを意味している。キャノボは分かりやすいチェックポイントがなく、延々とゴールへひた走るしかないのだ。キャノボと比べたら随分と楽だ。
休憩として、山頂近くのレストランで食事を取ることに。レストランのおっちゃんとおばちゃんが超気さくな方々でお話ししてて楽しかった!すんごく応援してもらえたし、癒された。
オススメされたイノシシカレーを注文!
う、うまい〜(*´∀︎`*)♪︎
イノシシ肉が柔らかくて臭みもない!これは元気が出る!一気に食べる。
「いま七葛やっている最中なんですよ」と話していたら
コーヒーサービスしてもらえた(((( ゚Д゚))))
ありがたい〜〜!
最後にはおばちゃんからミルク飴を握らされた。ありがとう!レストラン内の他のお客さんたちにもめちゃめちゃ応援してもらえた。これは頑張らねば!
気合を入れて犬鳴へ。指先が凍ってブレーキがうまく握れない中ダウンヒル!落車しないように気をつけるよ。
5本目の犬鳴。
距離11.1km、高低差704m、平均斜度6.3%
七葛の中では普通ランク。カレーも食べたしいけるはずだと思ってスタート。
スタートした直後…キツイ、きつすぎる…。
疲弊した身体には15%の坂でさえも壁に感じられた。
「ふうああああ!!!!くぅううう!!ふぅ、ふぅ…キツ…イ…イイイイッ!」と叫び回っていた。
ここでたくさんのローディーが叫んでいたことだろう。まるで山犬の遠吠えのように…。それ故ここは「犬鳴」と呼ばれることになったのだ(違
あまりにもシンドくて写真が一枚も撮れなかった。登りに必死すぎて、写真のことをすっかり忘れていたし、撮ろうとしても体力的にも撮れなかっただろう。
山頂に着いた瞬間のTAKUさん。
ヘロヘロ過ぎて座り込む。僕も座り込んでしまう。身体がボロってきてる。
「あと2本いけるのか…?5本登っただけで、獲得標高が3500mに迫っているぞ。もう帰っても良いんじゃないか」
そんなことが頭の中をよぎった。だが、ここで諦めるわけない。
記帳表に書き込み。
タイムは1時間0分44秒。
6本目は粉河。
距離11.5km、高低差718m、平均斜度6.2%
スタート地点には堂田商店がある。
TAKUさんはここで初めて補給食を買っていた。そもそもTAKUさんの補給量が僕の1/4ぐらいで超低燃費なのだ。チャリ体質でうらやましい…笑
ちくわとゆずハチミツの組み合わせ。
意外に悪くない( ˙▿︎˙ )/
タンタンタンといつものリズムで坂を上っていく。TAKUさんは元気そうだ。
そろそろ夕暮れだ。
気持ちが焦る時間帯だが、まだ慌てる時間じゃないと言い聞かせる。
この五分後にはイノシシが現れてちょっと焦った。
ここで事件が…。
体の調子がおかしいのだ。急激に寒気を感じ、筋肉に力が入らない。むしろ筋肉がかゆい。
こ、これはハンガーノックだ。なんてことだ!慌てて1本満足バー2本と飴を口に放り込む。8%の坂を登りながらのもぐもぐタイムは何よりも忙しかったよ。
もぐもぐしながらも撮った夕焼け。
ラスト2kmの激坂区間がめちゃくちゃしんどい。この区間は、蕎原、犬鳴、粉河、神通の共通ルートでどこから来てもラスト2kmが大変なのだ。
とにかく踏む、踏むしかない、と思って気合で駆け抜ける。
山頂に到達!!夕焼けがとっても綺麗だった。
もう辺りは真っ暗。
この時間帯に葛城山を登る人も居ないようだ。
タイムは1時間5分23秒。最長時間だ。
そしてラストの神通へ。もう七葛をやりきることだけを考えていた。
寒い寒いダウンヒルをこなしてスタート地点へ。
距離10.3km、高低差608m、平均斜度5.9%
この時点で19時30分。
時間感覚がバグってきていて、この時は「もう遅いから帰ろう」という発想力がゼロだった。
レストランのおばちゃんからもらったミルク飴。
これを舐めて元気だすよ!
ラストの神通の記憶があまり残っていない。真っ暗で次がどんな勾配の坂か全くわからず、只々ペダルを回すことだけに集中していた。全身の筋肉はこわばり、脚には力が入らず、頭もオカシクなっていたと思う。
ただ前へ。前へ。
…気付いた時にはゴールしていた。
タイムは58分18秒。
この記録表を書ききったときには、静かに、でも、熱く興奮していた。
嬉しさと高揚感と安堵が混ざり合って、成し遂げたことの余韻に浸っていた。
これで七葛が達成できたのだ。疲れ果ててまともな神経じゃいられないぐらい、強烈なヒルクライムライドだった。
もう二度とやりたくない。ゴール直後にはそう思っていた。
7回も同じ山に登るなんて正気の沙汰じゃない。けど、狂気の沙汰で感じる喜びもまた半端じゃなく深いものなんだと思う。
頭がおかしくなるくらいで得られる喜びがあってもいいじゃないの。
最後には展望台から夜景を見る。
ちょっとだけ世界が違って見えた。
ラストは最初の塔原ルートをダウンヒル。
スタート地点の塔原のバス停前へ。
トータルタイムで13時間15分もかかってしまった。けどいいんだ。今回はタイムなんて気にしてなかったし、完走することさえも目的にしてなかったんだから。
自分でチャレンジしてみようと決めて、自分なりにチャレンジしてみる。これが僕のやりたかったことなんだ、と素直に思えていた。
クレイジーライドって、やっぱり楽しい。
おわり。
(TAKUさんは自走で神戸まで帰ったそうです。七葛込みで270km、5700mアップ。超絶元気で素晴らしいローディーです。尊敬)