【リアス式海岸】アップダウン限界ライド①【宮城】

1909リアス式海岸

「今週末はどこ出かけようかなー」

仕事のお昼休み中にGoogleマップを眺めていたら、先輩に声をかけられた。

『りっけいくん、また旅立つの?良かったら一緒に宮城の海沿い走りに行こうよ!!』
『え…めちゃめちゃ行きたいです!宮城…行きましょう!』

たった10秒で行き先が決まった。やったね!

声をかけてくれた先輩は、大滝さん(仮名)だ!しばしば一緒に走りに行く人だ。5月には2人で青森まで遠征しに行ったっけ。あの旅は楽しかった!
青森の記事はここから読めるよ。

てなわけで、今回のコースは…

リアス式海岸だぁああああ!!

ずーーーーと前から行きたかったスポット!でも電車でのアクセスが悪くて、なかなか足が向かなかった。

だがしかし!今回は大滝さんが車を出してくれるという!!やったね!ありがとうございます!!

てなわけで、当日。

大滝さんカーに自転車を積み込み出発!自宅から130km先の石巻市へ!

さてさてリアス式海岸のツーリングが始まる!

実はここ、はちゃめちゃに大変なルートなのだ!

リアス式海岸!!

Q:そもそもリアス式海岸とは?
A:地盤沈下で沈んだ山がつくりだした海岸線のこと!


溺れ谷とも言われ、急峻な山だけが取り残されているのだ!自然現象ってスケールでかすぎて意味わかんないね!山が半分、海に飲み込まれてるんだよ…!

走ってみると分かるが、まあこういう道は面白い。延々とアップダウンを繰り返す坂まみれの道なのだ。独特のツラさがあるけど、めちゃくちゃ楽しいこと間違いなし!!


関東だと伊豆半島、関西だと紀伊半島を想像して貰えばわかりやすいと思う!

この宮城の海沿いは、半年前に走ったのだ。フォロワーさんであるガマさん(パワー系ロングライダー)でさえも、寒さと逆風と坂に苦しめられてたっけな。えげつない道だったよ。その時のお話はここから読めるよー!

さて石巻市に到着!

ここから120km先の南三陸町へ向かうぞ~!

今回のホイールは軽量のDura-ace C24をチョイス!これで山もラクに登れるチート機材!

スタートから20kmほどは大した登りもなく、準備運動がてらのんびりと走る。
1時間半ほどで女川町についた。

さあ、ここからがリアス式海岸の本番だぞ!
いっちょ気合い入れていきますか!


ヒルクライムスタート!

おおおコレコレコレ!これでこそリアス式だよ!!木々に隠されて海は見えない。密度の濃い森の中を駆け抜ける…!きもちいいー!!

50mも登れば、下り坂になる。

テクニカルなコースで心が踊る。

スルスルっと下った勢いのまま再び登る。カチャ、コン…カチャ、コンとギアチェンジがせわしない。ぐり、ぐり、ぐり、とグリップを効かせて斜面をクリアする。うははは!たのしいぞ!!

大滝さんも楽しんでいるようだ!息を切らせながらニコニコしている。僕よりふたまわり以上年上なのにめちゃめちゃ元気だ!さすがはマウンテンバイク出身なだけある。よっぽど山が好きなんだろう。体力もテクニックもあるクライマーだ!!

それにしてもリアス式海岸とは、なんとも不思議な土地だ。


いい香りがする。

清涼な空気のなかに、ほのかにヒノキの香りがする。みずみずしさと木の柔らかな雰囲気に包まれる。呼吸していて気持ちがいいのだ。

森が開けた瞬間には、海風が吹いてくる。潮の香りだ!!

『ぼくは景色よりも香りを楽しむためにツーリングするんだけど、ここは素晴らしいね!』
と大滝さんもすっかり喜んでいる。
ほんといい香りですね!!

ふぅ〜…最高のシチュエーションだなあ…!
こうして森と海を同時に味わえる土地ってなかなかないんじゃないだろうか?
クルマも建物もほとんど見かけない。こうして自転車で走り回れることが贅沢な遊びだと素直に思えた。

今日のメインディッシュは…

雄勝(おがつ)半島だーーー!!

地形からしてヤバそうな雰囲気がぷんぷんする。こりゃあ強烈な坂が待ってくれているんだろう…!!オラわくわくすっぞ!!

どりゃあああああ!!

いけいけいけぇえええ!!!
上がる斜度、上がるテンション、上がる標高…!!全てを勢いに任せてショートクライム!!

2分間全力で駆け上がると、下りに差しかかる。
ここで脚を休ませて、また全力クライムオン!!


ひゃーーー!アドレナリンとまんない!!

大滝さんもガンガン登っていく!!素晴らしい走りっぷりだ!!ほんとバイクコントロールがうまい…!マウンテンバイク乗りの特性なのかな。

とスタートから50km走って、ある問題が…

…ボトルの水がほとんどない…!!

大滝さんも全然残ってないようで、ふたりで急に慌てる!アップダウンに夢中で気が付かなかった!!

まあ気づいてたとしても、この土地は店も自販機もないからどうしようもないけども!!

と心配していた途端、運よく自販機発見!!!

空っぽじゃねーか!!

くう、なんだこのトリッキーな自販機は!ちゃんとしたやつはないのか!!

Googleマップを開いて、町がないか検索すると…
あ…小さな町があるぞ!!

どうやら、雄勝半島の1番先端に家が密集してる!なんとか自販機あってくれ!!!

自販機の存在を願いながら、ペダルを回していく。最悪の場合には民家に助けを求めよう。脱水症状になると動けなくなるし、意外と危ないぞ!

パワーを抑えていくつもの坂を越えると…

じ、自販機だぁあああ!!たすかったぁあああああ!!!!

いやあ、よかったよ。補給食と水は死活問題だからね。ぎりぎりだけどなんとかなった。

最後の山を越えて無事に半島一周完了!!

ここで大滝さんとはお別れだ。あとは平坦な川沿いを走ってきて石巻市に戻るんだとか!おつかれさまでしたー!

『この海岸線は1日走るだけで大満足だよ!それを明日も走るりっけいくんは頭おかしい(意訳)』
と謎のお褒めの言葉をもらって解散した


夕暮れが美しい…。

この川は東北最大の北上川だ。のんびりと流れていく川と、ゆっくり沈む太陽に心奪われていた。結局夕日が沈むまで見ていた。

この時点で80km地点。時刻は18時を回っている!

今日のゴールは40km先の南三陸町だーー!

遠い!!

いや距離的には近いんだけど、全部アップダウンなのね!今までの坂のダメージがボディブローのようにじわじわ効いていた。

もう身体はボロボロだ!
鞭打ってバイクを進める。

でも大丈夫!ある秘策があるのだ。
それは…
『海鮮丼をたべる!!絶対にたべる!!』
こう決意するだけで、モチベーションが上がりペダルもがんがん回せる!

というのも南三陸町の『三陸きらきら丼』が素晴らしい一品なのだ。町おこしのために作られたドンブリなのだが、これが大好きだ。3月に来た時にはえらく感動した。

まぐろ、えび、イカ。その上にいくらをチラす贅沢ぷりよ。ひとつひとつが格別に美味しいというね!たまんないね!思い出しただけでにっこり笑ってしまう。

足の筋肉を完全に失い、腰は砕かれたような感覚を覚えながら、まっくらな坂を登り続ける。暗すぎて斜度が分からない!けど、目の前の道を走るのみだ!!

うらああああああああ!!!
海鮮丼!海鮮丼!ここを越えたら海鮮丼!

自分を鼓舞する。疲れなんて大したことない!!補給食をすべて食べきってしまったけど大してことはない!!

オラオラオラァ!!…ん?

登米市…?方向おかしくね…?

ギャアアアアアア(^ω^≡^ω^)道を間違えたぁあああ!!!

2km以上も登っていたのに、気づかないだなんて!!アホか!海鮮丼に洗脳されすぎだろ!!脳みそ大丈夫か!!

なんとかリカバリーして正しいルートに戻る。空腹と疲れからか、普段はやらないコースミスをやってしまう。これだからリアス式海岸は恐ろしいのです(責任転嫁)

…おお?海の向こう側が明るいぞ!

ついに!ついに!!南三陸町だぁああああ!!いやっほい!

2時間ずっと漕いできた甲斐があるってもんだね!

さて、お目当ての海鮮丼を楽しみましょか!


……

…………満席だとぉおおお!??


ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”

なんてこったい!!!ここの海鮮丼を食べたいがために、必死こいて走ってきたのにな!!!酷い仕打ちじゃねぇか!!!

くそぅ…仕方ない。他の店に行こう。

他2軒のお店も『営業時間が8時だから』と言って断られる。

どうしてなんだよおおおお!!!(涙目)

店の人曰く『ここらにはコンビニか、チェーンのラーメン屋しかないからなあ』

ラーメンもいいけどさ!!いまはご当地のサカナが食べたい!!!めっちゃサカナ食べたいの!!(わがまま)

こうなりゃ最後残り札じゃい!!

怒りのスーパー突撃じゃあああああ!!!

むしゃくしゃした僕は何を思ったのか…

寿司を30貫を購入!!!おっしゃオラあ!!

そのままスーパーのイートインで、手を合わせていただきます!!

うららららららら!!!

うまままままま!!まままい!!うますぎる!!

ホタテ!!えび!!ウニ!!

どれも絶品かよ!!肉質が極めて高いぞ!鮮度ピチピチで、口の中で弾けるような食感だ!うんまい!!!!

全国いろいろ旅をして思うが、海鮮食べるならスーパーのパック寿司がかなりイイと思う!地元の人が頻繁に口にするものが一番うまい!!

さいこう!!ごちそうさまでした!!!

結果的には大満足な晩餐だった!!あの店よ、満席になっててくれてありがと!!!!!また行くけどね!!!!!

その後は無事に宿についてほっと一息をつけた。

まあリアス式海岸はエゲツナイ道だった。
1500級の山を1発、登る方がよっぽど楽だ!!この土地は一日中ヒルクライムしている感覚になるぞ!

でも旅の満足度はめちゃくちゃ高かった!アドレナリンどはどば出しながらロングライドできるって狂気を感じられる素晴らしい体験だった!

さあ明日はどこまで走ろうかな。