グラベルロードで林道100km走ってきた!

S.K.さん

かんぱ~い!

すっかり日が沈んだ春の夜、ぼくはS.K.さんとキャンプをしていた。

Twitterきっかけで知り合ったS.K.さん(Twitter @r0adbike_sk)と会うのは、これで4回目だ。

これまで標高1500mヒルクライムしたり、250kmゆるふわライドしたり、雪グラベルライドをしたり。いろんな遊びをともにしてくださる貴重な自転車乗りさんだ。

夜に集合してキャンプ、翌日からは“グラベルライド”を1日楽しもう。というのが今回のプランだ。

好きな人と好きな話題を語り合う時間は、なんとも心地良い…。自転車旅、挑戦系ライド、ブログ、カメラ、キャンプ…知識豊富なS.K.さんとの会話はほんとに尽きない。趣味方向性も似てるしね!

心地よく酔ったままテントで( ˘ω˘)スヤァ

まぶしい…テント越しに日光を感じる。時刻は朝4時半。…太陽さん、早起きすぎませんかね?

寝ぼけながら一杯紅茶を飲む。

ボケッとしているぼくとは対照的に、S.K.さんはテキパキ動いている。コーヒーを淹れ、ラーメンを作り、さっと朝食を済ませて、あっという間に撤収作業に入っている。さすがは歴戦のキャンパーさんだ。おそろしく速い作業…オレでなきゃ見逃しちゃうね。

今回のグラベルライドってのは、未舗装路をメインに自転車で走ることだ。アスファルト舗装ではなく、砂利、枝、苔、岩ばかりのオフロードばかり。…最高かよ。

さて、行こう!

S.K.さんがアテンドで林道を走る。オススメの林道コースを紹介してくれるのホントにありがたい…!

路面のギャップで車体で振動する。思わず「うほほほ…!」と笑みがこぼれる。アスファルト舗装じゃ感じ取れない「走りの喜び」がずんずん身体に響いてくる。走りそのものが楽しくって仕方ない。

「あの枝は踏んでみよう」「このとがった石は回避!」と瞬時に判断を下して、自転車を前に進めていく感覚。どれだけ車体を傾けるか、どれほどペダルを踏むのか、重心をどこの位置に持ってくるのか…


あたまの中で描いた以上の、スムーズなライン取りができたときには脳汁がブシュブシュ出てくる…!!


きっもちいいぃいいい!

はぁはぁ…たまらんだろ、こんな道。

そもそも山のなかを駆けていくのが気持ちいい。登山で感じる「山の空気を吸う」爽快感と、自転車ならではの「疾走感」を同時に味わえるんだから…これが楽しくないわけがない!!


こう、なんていうだろう…山の良さというか、ウェットな空気感が大好きなんだ。

一眼レフを背負った2人がいれば、もうアレをやるしかない。

流し撮りだ!!

走者に合わせながらカメラを動かして撮影する。これが思ったよりも難しくて、何度も撮り直す。それでもバシッと決まったときの高揚感は、撮影好きな人ならわかってもらえるだろう。

これがS.K.さん撮影の流し撮り。

ブレなく撮れているの、ホントうますぎる…。天才かよ。

流し撮り以外にも写真撮影のコツをS.K.さんに教わる。

S.K.さん「手前に草木を入れると面白いですよ!んで、ちょっとボカシてみてください」
ぼく「…うお!すごい!!」


これは面白い!

いかにも林道を走っている雰囲気が写真越しに伝わってくる。普段から林道で撮影しているS.K.さんの技術がスゴイ。なにもかも勉強になる。。。


いやぁ、写真の世界は深い。

S.K.さんのアテンドであっちの山の林道、こっちの山の林道、とアチコチを走らせてもらう。その中でも僕が好きになったのは…


こういう「シングルトラック」と呼ばれる道だ。踏み固められた一本だけの道。

逃げ道がない狭いトコロをいかに切り抜けていくのか…操舵技術が多分に求められる。段差をジャンプで乗り越え、顔の高さに伸びている枝を避け、落ちている小枝をポキポキ折って走る。どこを見渡しても自然に囲まれている。森が心地いい。

逆にクルマの轍で踏まれた、こういう道をダブルトラックと呼ぶ。

すでに道が踏まれているので走りやすい。


けど、好みとしてはこういうシングルトラックがいい。

「自然への没入感」を味わえる。非日常感が異常に強く感じられる…素敵な異世界だ。

そのシングルトラックの先に進むと、走れる道なんてなくなる。

階段を越えたり、


小川を渡ったり…

山のなかを放浪する。もはや「道」の概念が分からなくなってくる。とりあえず通れそうなら、そこは道なんだと思うようになってきた。

なによりも…

こうして自転車を担いで歩くのも楽しい…!!

頼れるのは自分の身体だけ。原始的な考えだが、体中からチカラが湧いてくる。目の前の困難だって、自分のチカラで乗り越えていけそうな感覚になる。うん、自転車担ぎいいですね。

今回のS.K.さんバイク、ぼくがとっても気になっていた。

S.K.さんバイク:Bombtrack Hook EXT 2021

はい、来ましたね!!Bombtrackですよ!Hook EXTですよ!!!あまり日本では見かけない逸品。なんとS.K.さんのご厚意で試乗させてもらった。

ひと漕ぎ、ふた漕ぎ……うっわ!!なにこれ、チートじゃん!!

初めて乗った感想が「チート」だった。進み方が異常だ。オフロード車だけど、走り自体はかなりロードバイクに近い。踏み込んだ分だけまっすぐ推進力に変わる。縦方向の荷重がそのままスピードに変換される感覚。クロモリ製なので重量はあるが、登りでもさほど気にならなかった。グラベルで高速ダウンヒルすると車体が暴れそうだけど、どうなんだろうか。S.K.さんはガンガン踏んでダウンヒルしてたから、慣れてしまえば問題ないみたいだけど。

いやぁ、グラベルロードバイクっておもしろい。少なくとも僕の乗っているJariとは全然違う。

りっけいバイク:Fuji Jari1.3 2021

Jariは安定感重視のバイクで、車体が軽くハンドリングがしやすいことが特徴だと思う。踏むよりも回し手進めるタイプ。けどS.K.さんのHookのスピードの伸びは異常だ。S.K.さんにもJariに乗ってもらったけど、「Hookは進むバイクだ」とS.K.さんと意見が合致した。Bombtrackさん、すごいです。

にしてもS.K.さんと過ごす時間が楽しくて仕方ない。キャンプ、グラベルライド、撮影、バイクの感想などお互いに楽しめる分野がたくさんある。共通する趣味があると、過ごす時間がより豊かになる。

と言ってきたが、圧倒的にぼくと違う点がある。それはS.K.さんはハチャメチャに自転車に乗れる人なのだ。

このライドのつい2週間前、彼はグラベルエベレスティングを達成しているのだ。

獲得標高でエベレスト(8,848m)を超える挑戦である。しかも未舗装路で!!

いわゆる「エベレスティング(舗装路)」だって達成がかなり難しい。24時間以上、登りと下りを繰り返してなんとか達成できるものだ。それを未舗装路だなんて…もう理解できない挑戦だし、やる人は頭もおかしいと思う(褒め言葉)

そんな挑戦に挑み、S.K.さんは国内2番目の達成者となった。偉業すぎる…約300kmもの距離を未舗装路で走ったんだとか。その様子のS.K.さんブログ記事はこちら

もう一緒に走っていてもわかる。登りなんてついてい分けるわけがない。

脚力に差がありすぎる。

舗装路の2%の登りを走っているときなんて、32km/hで走っていた。目の前の現実に目を疑った。スピードセンサーが壊れているのかと思った。


なにしろ、重いグラベルロードバイクだし、47Cという太いタイヤを履いてるんだもん。軽々出せるスピードじゃない。

S.K.さんは別に無理しているわけでもないし、笑顔で走ってるのがなにより恐い。パワー系の妖怪さんですね、はい。

昼にも近くなるとお腹がすく。いや朝5時から走っているから、もう7時間近く動き続けているわけで。

ぼく「お腹すきましたね~」
S.K.さん「すきました…てかハンガーノック*きてます」(*低血糖状態で動けなくなる直前。自転車乗りの致命傷になる)
ぼく「へ…?大丈夫ですか?」
S.K.さん「いや、ハンガーノック*がちょうどいいんですよね…いつもカロリー計算ばかりしてますし、たまにはこういうのも」
ぼく(この人イカれているな…)

倒れる前に、昼食にありつけた!

おそば!おそば!!空腹で食べるおそばがめっちゃおいしかった!!

(大盛りに天ぷらもつけたけど、まったくお腹が膨れなかったのはここだけの話)

その後は、トンネルで撮影したり

林道ライドしたり

最後には温泉に入り、1日を〆る。この24時間の振り返って語り合う時間が楽しい。キャンプして、グラベルをして、撮影しまくって(後から見ると2人で3,00枚近く撮っていた)、コーヒーブレイクを挟んだり…ここには書き切れない楽しい思い出もたくさんあった。詰め込みまくりのライドだった。

あぁ…いい一日だった…温泉に浸かりながら、ふとそう思う。

さてここでS.K.さんとはお別れだ。そのまま自走で家に帰るようだ。

楽しいグラベルありがとうございました!!

ぼくは輪行(電車に自転車を持ち込むこと)で帰ろうと思ったけど

この泥付きっぷりである。

この泥を落として、解体して、輪行袋に詰めるだなんてめんどくさいなあ…。あ、そうか!!ぼくもこのまま自走で帰ればいいんだ。

結局、輪行はせず峠を越えて家まで帰りましたとさ。舗装路でもばりばり走れたので、帰りもすごく気持ちよかった!

そんなわけで、楽しい100kmグラベルはこれでおわった。

しめて距離130km、獲得標高1,956mでした!

いままで知らなかった森の世界でのライド。あらゆる身体能力を駆使して、山を駆ける。この気持ちよさと言ったらもう…病みつきになってしまう。

いつもはロードバイクでの「移動する楽しみ」を味わってきたけど、このグラベルライドでは「走ることそのものの楽しみ」を身体で理解できた。また新しい自転車の遊び方を知ってしまったので、きっとまたグラベルライドを貼るだろう。

あぁ、ほんとうに楽しかったな。一緒に走ってくれた上に、アテンドまでしてくれたS.K.さん、ありがとうございました~~!!

S.K.さんのTwitterはこちら。当日のライド記事はこちら

おわり。